農業高校生が作る「オンリーワンドッグフード」、兵庫で評判上々 県外から購入の問い合わせも

商品化した「県農オンリーワンドッグフード」の反応を店主から聞き取る県農生たち=加古川市加古川町寺家町、「ブラザードッグス」

 兵庫県立農業高校(同県加古川市平岡町新在家)の生徒たちによる、害獣として捕獲された鹿の肉と廃棄野菜で作った「県農オンリーワンドッグフード」が、加古川市や同県明石市の3店で販売されている。2023年9月下旬以降、イベントで販売していたが、ニーズが合致せず売り上げが低迷。そこで12月からは、趣旨に賛同してくれたドッグサロンなどでの販売を開始。利用客の評判は上々という。(増井哲夫)

 「お客さんの反応はいかがですか?」。今年2月上旬、卒業を控えた動物科学科の連尺野莉蘭(れんしゃくのりら)さん(17)ら3年生3人が、加古川市加古川町寺家町のドッグサロン「ブラザードッグス」を訪れ、自分たちが考案したドッグフードの売れ行きなどを尋ねた。

 「食いつきがすごくいいので好評」と代表の永井達也さん(43)。1カ月余りで20袋ほど売れたといい、交流サイト(SNS)の発信を見た福岡や東京の人から「購入できますか?」との問い合わせもあるそうだ。

 駆除した鹿の多くが廃棄されている問題を知った同学科の生徒が22年3月から取り組む。鹿肉の有効活用を目指す団体の協力を得て、校内で廃棄予定だった農産物も材料に加えて開発。クラウドファンディングで191人から約135万円の支援が寄せられ、商品化した。

 当初はイベント販売を中心に展開。ところが、コストパフォーマンス重視の客層が多い量販店のイベントなどではなかなか売れなかった。ニーズをとらえた販売戦略の大切さを学んだ生徒たち。ペットショップやサロンでの展開に期待をかける。

 永井さんは同学科(旧畜産科)の卒業生。「添加物だらけのフードが原因で体調を崩す犬もいる中、この取り組みは素晴らしい」と注目していた。昨年4月に店を開いた時から「取り扱いたい」と打診。犬のトリミングで来店する度に購入する人もいるという。

 中心となって進めた3年生は今春卒業し、1、2年生が引き継ぐ予定。永井さんは「応援するので、継続していってほしい」と後輩たちにエールを送る。

 店頭販売価格は50グラム入り1210円。問い合わせは、ブラザードッグスTEL079.453.5671(火曜定休)、県立農業高TEL079.424.3341

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