中国海警局が台湾観光船臨検、転覆死亡事案受け 台湾側は遺憾表明

Yimou Lee Ben Blanchard

[台北 20日 ロイター] - 台湾で海洋政策を担う海洋委員会の管碧玲主任委員(閣僚)は20日、中国海警局による台湾観光船への臨検が台湾人民の感情を損なったとして遺憾の意を表明した。

中国は18日、台湾が実効支配する離島の金門に近づいた中国船が台湾沿岸警備当局から逃げようとして横転し2人が死亡したことを受け、海警局が周辺海域でパトロールを開始すると発表した。

台湾当局によると、6人の海警局員が19日、台湾の観光船(乗組員11人・乗客23人)に乗り込み、航路計画、証明書、乗組員免許を確認し、約30分後に立ち去った。

管氏は記者団に対し、中国と台湾の観光船が誤って相手側の海域に入ることはよくあることだと指摘。「このような船は全く違法ではない」と語った。

台湾の邱国正国防部長(国防相)は記者団に対し、今回の問題を平和的に処理すべきとし、「われわれは緊張をエスカレートさせないよう対応する」と述べた。

台湾の安全保障担当高官はロイターに、中国は2人が死亡した転覆事案を「口実」として、次期総統の頼清徳氏にさらなる圧力をかけていると指摘。5月20日の就任を控え、圧力を強め続ける可能性が高いという。

一方、中国国営メディアによると、転覆事案での生存者2人を引き取るため、泉州市紅十字会(赤十字)の職員が20日、家族に同行して金門に到着した。

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