将棋の藤井聡太八冠(21)の師匠、杉本昌隆八段(55)が2月19日、福井県福井市内で講演した。師弟のエピソードを交え、若い世代と接する上ではセオリーにこだわらず、それぞれの個性や才能を伸ばすことの大切さを伝えた。
同市の福井商工会議所ビルで開かれた北陸銀行福井支店の取引先でつくる「北陸親寿会」の新年総会後に登壇。約100人が聴講した。
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藤井八冠が2012年に小学4年で弟子入りした当初から「とてつもないポテンシャルを感じた」という。対局で最善手を見つけても持ち時間いっぱいまで考える指し方に否定的な意見もあったが、杉本さんは個性として尊重。指導で納得できない手を提案されると黙り込む頑固な一面もあり、そんな時は発言を待って、一緒に考えるようなコミュニケーションを心掛けたと振り返った。
多くの門下生を育てる中、一対一で指導するだけでなく、門下生同士で交流させることで若者が発言しやすい環境づくりを意識していると説明。「一緒になって考えることで新鮮な発見につながることもある」と強調し、「昭和世代は修行のように苦しみながら(将棋を)勉強したが、今の若者たちは楽しみながら勉強している」と述べた。