温泉旅館「長栄館」(岩手・雫石町)が破産手続き開始 負債総額約28億7400万円 補助金だまし取った罪で前社長らは起訴

新型コロナの感染拡大を受けて国が設けた補助金をだまし取ったとして、前社長が逮捕された岩手県雫石町の温泉旅館「長栄館」が20日、破産手続きを開始しました。事業は継続される予定です。

20日午後、岩手県庁で「長栄館」の代理人の弁護士が会見し、盛岡地裁に破産手続き開始の申し立てを行い、受理されたことを明らかにしました。
雫石町の鶯宿温泉にある旅館「長栄館」は、国内外の観光客の減少や新型コロナ感染拡大の影響などを受けて過去3期連続で営業損失を計上し、債務の弁済が困難な状態に陥っていました。負債総額はおよそ28億7400万円です。
今後は破産管財人が事業の譲渡先を探しながら事業を継続する予定です。

(長栄館の代理人 奥野善彦弁護士)
「現社長から何とか助けてもらいたいと申し出を受けた。従業員の雇用を守ることは大切と思い、事業継続の許可を取った」

長栄館を巡っては1月に逮捕された前社長の照井貴博被告(37)が、20日、詐欺の罪で起訴されました。
起訴状などによりますと照井被告は、同じく起訴された雫石町内の食品会社代表の福岡加奈子被告(48)、宮城県大崎市の元会社役員・大沼孝晶被告(41)と共謀し、おととし3月中旬から去年2月上旬までの間に、新型コロナの影響を受けた生産者を支援する農林水産省の補助金の制度を悪用し、事業を請け負う東京の広告代理店からおよそ5000万円をだまし取った罪に問われています。

会見した弁護士によりますと、長栄館の照井久美子社長は、「このような状態になっていることをおわび申し上げたい」と話しているということです。

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