韓国、研修医らが職場離脱 医学部定員増に反発、現場混乱も

閣議で発言する韓国の尹錫悦大統領(中央)=20日、ソウル(聯合=共同)

 【ソウル共同】韓国の総合病院で働く研修医らが20日、大学医学部の定員を増やす政府方針に反発し、一斉に職場を離脱した。政府は医師団体幹部らの免許停止も示唆して対立。尹錫悦大統領は閣議で「国民の命と健康を人質にしてはならない」と復帰を呼びかけた。一部の医療現場では人手不足に伴う手術延期などの混乱も生じ、懸念が広がっている。

 地方の医師不足解消を図る政府は6日、医大や医学部の入学定員を2025年度から6割増やし、約5千人にすると発表した。これに対し医療界は、医師の数は十分で、待遇改善を優先すべきだなどと主張。総合病院の研修医らは20日からの職場離脱を宣言した。

 政府は19日時点で約6400人が辞表を提出し、うち約1600人が実際に現場を離れたと説明。手術キャンセルは25件に上り、他にも診療拒絶や入院延期といった実害が確認されたという。

 政府は軍の病院を活用するなどして医療体制を維持する構えだが、職場離脱が長引いた場合は「3週間が限界」との指摘もある。

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