県警機動隊パワハラ訴訟、双方が和解へ 兵庫県が自殺の男性巡査遺族に謝罪含め賠償金支払い

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん=当時(24)=が2015年に自殺したのは、先輩隊員らによるパワーハラスメントが原因だったとして、木戸さんの両親=広島市=が兵庫県(県警)に計約8千万円の損害賠償を求めた訴訟で、県が142万円の賠償金を支払い、両親に謝罪する内容で双方が和解する方針を固めたことが20日、関係者への取材で分かった。

 県は20日、損害賠償金を支払うとする23年度補正予算案を県議会定例会に提出。県議会が可決すれば、3月にも大阪高裁で和解が成立する見通しとなった。

 訴状などによると、木戸さんは県警機動隊で勤務していた15年10月6日に隊舎自室で首をつっているのが見つかり、9日後に亡くなった。22年6月の一審神戸地裁判決は先輩隊員のパワハラを認定し、県に100万円の支払いを命じた一方、パワハラと木戸さんの自殺との因果関係は認めず、原告、被告とも控訴した。控訴審は昨年10月に結審し、大阪高裁の提案で和解協議が続いていた。

 県警などによると、和解条項の案には、先輩隊員がパワハラで精神的負担を加えたことを反省し、原告に謝罪する内容が含まれるという。県警の植村琢也監察官室長は「ご遺族の心労や心情をおもんぱかって、双方が歩み寄った形で解決を図ることが妥当と判断した」とコメントした。

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