淡路島西岸沖に油、5500万枚相当の養殖ノリ廃棄問題 洲本市沿岸でも新たに30万枚相当処分へ、業者落胆

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 淡路島西岸の兵庫県淡路市江井沖で油が確認され、同市江井から富島にかけた一帯で養殖ノリが廃棄を余儀なくされた問題で、同じ西岸で養殖する同県洲本市の五色町漁業協同組合も油の影響でノリ約30万枚の廃棄を決めたことが20日、分かった。被害総額は約300万~450万円に上るという。

 また、神戸海上保安部によると、確認された油には船舶などに使われる重油が含まれていたといい、油が流出した原因を調べる。

 油の塊は11日午後、淡路市江井沖で初めて確認され、同市内5漁協の漁業者は順次出荷を停止した。

 同市の南に位置する洲本市沿岸でも五色町漁協所属の3業者がノリを養殖しており、出荷を取りやめた。洲本市は油の影響による被害として、乾燥させた状態で約1トンのノリを確認。被害総額は1枚(縦21センチ、横20センチ)当たり10~15円の換算で約300万~450万円といい、同市はノリの焼却処分費45万円を同漁協に補助することを決めた。

 既に被害が分かった淡路市は最大で5500万枚に相当する約200トンのノリが廃棄処分になると想定。漁業者は、油の付着にかかわらず、ノリの伸びている部分を全て廃棄するため刈り取りを進める。新たに伸びる部分の対応は検討中という。同市は市内5漁協に対し、処分費の半額に当たる8380万円を補助する。

 島内でノリを養殖する男性は「生産が大詰めの時期。今年はノリ不足で価格が高騰し、1枚でも多く生産をと思っていたのに残念だ」と声を落とす。

 県洲本農林水産振興事務所によると、県内産のノリの約3割が淡路島産。島内では淡路市を中心に洲本、南あわじ市の計13漁協に所属する漁業者がノリを養殖している。(荻野俊太郎、中村有沙、古田真央子)

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