悔やんでも悔やみきれないACLラウンド16での敗戦。それでも背中を押されたフロンターレコールに脇坂泰斗は何を思ったか

[ACLラウンド16]川崎 2-4 山東泰山/2月20日/等々力陸上競技場
※2戦合計 川崎 5ー6 山東泰山

ズシリと重みを感じる敗戦となった。悔やんでも悔やみきれない一戦だ。

昨年に行なわれたACLのグループリーグは無敗で勝ち上がり、今季初の公式戦となったアウェーでのラウンド16第1戦は3-2で勝利。その3日後に開催された富士フイルムスーパーカップはメンバーを全員変えたうえで、神戸に1-0で勝利。

過密日程ではあったが、準備を重ねてホームでの第2戦へ臨んだはずだった。

しかし、今オフ、少なくない入れ替えを迫られたチームは、立ち上がりに相手の勢いを受けてしまうとミスも重なり2失点。

その後は攻勢に出て一時はトータルスコアで再逆転するも、終盤の2失点で力尽きた。

今季、新たにスタートする「ACLエリート」への出場も決めているが、中東勢と早いタイミングで対戦する可能性があるなど、レギュレーションが大きく変わるだけに、今大会に懸ける想いは相当に強かった。

鬼木達監督、新キャプテンの脇坂泰斗らは熱い決意を口にしていただけに、悔しさはなおさらだろう。

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それでも敗戦後には、フロンターレコールが起こった。サポーターたちも複雑な想いを抱えながらも選手たちの背中を押したかったに違いない。

脇坂はその声をこう振り返る。

「場内の一周の後押しは絶対に忘れてはいけない。今シーズンにぶつけなくてはいけない」

そして今季から腕章を巻く男は、期待に応えられなかった忸怩たる想いとともに、難しいことは分かっていても切り替えの重要性を口にした。

「ホーム開幕戦ということもあって、平日に関わらずあれだけの声援をしてもらえた。だからこそ一緒に駒を進めたかったのですが、申し訳ない気持ちで一杯です。

でもこれを引きずるのか、リーグ戦でしっかり勝ちに持っていくのかは今シーズンを、見た時にすごく大事な一戦になるはず。どれだけ力を発揮できるか、そこにフォーカスしていきたいです」

まだ頭の整理はつかないだろう。それでも最も避けなくていけないのは、敗戦を引きずり、今週末のリーグ戦開幕戦で不甲斐ない姿を見せること。力強く立ち上がるために、脇坂は無理にでも前を向いて、スタジアムを後にした。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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