災害関連死を合同審査 県が委員選定、円滑支給へ

  ●知事「市町だけでは困難」

 石川県は20日、能登半島地震の災害関連死を認定する審査会について市町と合同で実施することを明らかにした。通常は遺族の申請を受けた市町が単独で審査するが、県が審査委員の選定や日程管理などの事務作業を一括して担うことで、円滑に認定の可否を判断し、災害弔慰金を支給できるようにする。国は認定の統一基準を示しておらず、自治体ごとの判断で差が生じるケースも防ぐ。

 県災害対策本部員会議で報告された。馳浩知事は、認定には一定の基準や法的見地が必要になるとし、「市町だけで担うのは困難。県として方向性を示したい」と述べた。

 県は今月中に19市町を対象に、災害関連死の認定基準や災害弔慰金の支給マニュアルなどについての説明会を開く。20日時点で犠牲者241人のうち、災害関連死が疑われるのは15人。2016年の熊本地震では犠牲者276人中、関連死が226人と約8割を占めており、能登半島地震でも今後増える可能性がある。

 東日本大震災や熊本地震では、複数の市町村による合同審査会が開催された。奥能登の市町は災害関連業務に忙殺されており、輪島市の坂口茂市長は委員の確保が困難だとし、合同審査を求めていた。

 熊本地震ではノウハウのない自治体で手続きが遅れたり、自治体間で認定率がばらつき、最大で4倍近い開きがあったりしたため、熊本県主導の合同開催とし、作業の効率化を図った。

 

 ★災害関連死 地震による建物の倒壊や津波、洪水が原因で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活の疲労や環境変化のストレスなどから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められるもの。自殺も含まれる。市町村が審査委員会などを設けて審査。災害と死亡の因果関係が認定されれば、災害弔慰金支給法に基づき生計維持者を亡くした遺族に500万円、生計維持者以外を亡くした遺族に250万円が支給される。遺族の申請が必要なため、実際は認定数以上の死者がいるとの指摘がある。

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