吉村洋文・大阪府知事が語る北陸新幹線敦賀開業の意義 「これからは関西がリーダーシップ」

北陸新幹線の全線開業の意義を語る吉村洋文大阪府知事=1月26日、同府庁

 3月16日の北陸新幹線敦賀開業まで1カ月を切った今も、大阪までの全線開業の時期は見通せていない。大阪府の吉村洋文知事(48)は全線開業すれば関西と北陸の交流や連携が進むとともに、関西国際空港から北陸を訪れる訪日客が増えると指摘。「世界の玄関口の関空と北陸がつながることが北陸新幹線の持つ大きな意味だ。実現に向けて全力を尽くしていきたい」と意欲を示す。

 ―2023年11月の近畿ブロック知事会議で視察した敦賀駅の印象は。 非常にわくわくした。船に乗っているような(感覚になる)駅で、コンセプトが明確だ。コンコースの天井は北前船を意識したデザイン、3階は甲板のよう。大阪も北前船で栄えた歴史があり、つながっていると感じた。

 ―関西にとって、北陸新幹線敦賀開業の意義は。 北陸と関西はつながりが深い。僕も北陸のことは大好きだし、北陸が好きな関西人はいっぱいいる。これまで以上に北陸と関西の交流や連携が促進される。

 敦賀までつながったことで、いよいよ自分ごとになってきた。今までは北陸が中心だったが、これからは福井も含めて関西がリーダーシップを取って全線開業につなげていきたい。

 ―元日に能登半島地震が起きた。災害時の備えとしての北陸新幹線の役割は。 国土軸のリダンダンシー(多重化)や国土強靱(きょうじん)化として重要。南海トラフ地震が起きる可能性は30年以内に70~80%と言われている。東海道新幹線は太平洋側であり、南海トラフ地震が起きた場合には止まる可能性がある。代替となりうるのが北陸新幹線だ。

 ―早期全線開業に向け、環境影響評価(アセスメント)の遅れなど京都府を巡る問題にどう対応するか。 京都での(着工前の)事業推進調査は始まっており、地元の不安が科学的根拠によって払拭できるよう丁寧に説明して事業を進めていく必要がある。財政については、沿線の自治体に過度な負担とならないよう、貸付料(JRが国側に支払う施設使用料)を最大限確保することが重要だ。北陸、関西が一体になって国に働きかけていく。

 ―大阪市内を南北に貫く「なにわ筋線」(31年春開業予定)は、市中心部から関西国際空港へのアクセス向上が期待される。北陸新幹線との相乗効果は。 なにわ筋線ができると、関空からの訪日客が新大阪に来やすくなり、北陸新幹線がつながれば北陸にも行きやすくなる。

 訪日客の大阪府内での消費総額は23年、コロナ禍前を超えた。(今後は)25年大阪・関西万博の跡地活用やIR(カジノを中心とした統合型リゾート施設)構想などもあり、さらに訪日客が関空を使って来る。伝統文化、おいしい食などがある北陸に向かう客も増えるだろう。全線開業は大阪と北陸がつながるだけでなく、関空を通じて世界とつながる大きな意味がある。

 【略歴】よしむら・ひろふみ 1975年生まれ。九州大卒。2000年弁護士登録。11年大阪維新の会公認候補として大阪市議に初当選、14年衆院議員に初当選、15年に大阪市長、19年から現職。大阪維新の会代表、日本維新の会共同代表も務める。   

  ×  ×  ×

 3月16日の北陸新幹線福井県内開業を契機とした新時代の福井のあり方を探る長期連載「シンフクイケン」は第7章に入りました。テーマは「福井へのエール」。食や2次交通、まちづくりなど各分野の関係者6人に開業への思いや期待を聞き、福井の発展の可能性を探ります。連載へのご意見やご感想を「ふくい特報班」LINEにお寄せください。

シンフクイケン・各章一覧

【第1章】福井の立ち位置

【第2章】変わるかも福井

【第3章】新幹線が来たまち

【第4章】駅を降りてから

【第5章】ハピラインにバトン

【第6章】福井が変わる

© 株式会社福井新聞社