【ガーデニング】鉢植えは土が決め手。見違えるように花が咲く!用土の基礎知識

植物を育てるとき、私たちはつい目に見える部分に気をとられがちですが、植物の成長は目に見えない根に支えられています。とくに鉢植えは限られたスペースで根が活動しなければならないので、用土の役割がとても大切! 根が快適にいられる用土で植物を元気に育て、花をいっぱい咲かせましょう。

★春の山野草★

土は通気性と排水性のよい団粒構造が大事

植物は根によって体を支え、土中の水分や養分を吸収、呼吸をしています。そこで、重要になるのが用土の通気性と排水性。通気性がよいと、水やりのたびに新鮮な空気が根に供給されます。水はけがよいと土は乾き、水を求める根がよく伸びます。

この通気性や排水性を保つのは土の粒子のすき間です。粉のように細かい粒子ではすき間のない単粒構造になってしまうのを、粒子を集めて大きな粒に結びつけた団粒構造にすると、用土にすき間ができて根は元気に活動できます。

単粒を結びつけて団粒にするのは、落ち葉や枯れ枝などが土壌の微生物によって分解された堆肥(たいひ)など、腐植質(ふしょくしつ)という物質。そこで、庭や花壇では土をよく耕して、堆肥などを混ぜることで土壌を団粒構造にします。 →「冬の土づくり」参照

庭と鉢植えの土の違いとは!?

鉢やプランターなどでも庭や花壇と同じに、土は団粒構造が大切。ただし、庭では水やりがほとんど必要ないのに対して、鉢植えは水やりを頻繫にするため団粒構造が崩れやすく、粒子のすき間がなくなりがちです。さらに鉢などの容器内は湿気が溜まりやすいため、庭土以上に排水性が求められます。

このように庭と鉢では条件が異なるので、「うちの庭は草花がよく育つから」といって庭土を鉢に入れても、鉢栽培はうまくいきません。鉢栽培には団粒構造が崩れにくく、排水性に優れた市販の培養土を用いましょう。

培養土は基本用土の赤玉土(*1)などに通気性や排水性をよくする腐葉土(*2)などをブレンドしたもので、そのまますぐに使えて手軽です。草花用や野菜用のほか、弱酸性の土を好むサツキやブルーベリー用に酸度調整されたもの、通気や排水性に特に優れた多肉植物用、肥料分をふくまないタネまきや挿し木用など、さまざまな種類があります。

タネまき用
多肉植物用

市販の培養土をアレンジしてみる

ただ、市販の培養土は種類が豊富すぎて15ℓで300円前後から4000円以上のものまであり、どれがよいのかわからないと感じませんか。重さもさまざまで何を基準に選んでよいのか悩みます。ベランダガーデナーなどは限られた数の鉢栽培ですから、いろいろなタイプを試してみるのも難しいですよね。

私自身がそんな悩みを抱えていたとき、ある園芸研究家の方から教えていただいたのは、低価格の培養土でも腐葉土をブレンドすることで、培養土の品質が平均化されるということでした。腐葉土が培養土の中にすき間をつくり、通気性や排水性を向上させます。混ぜる腐葉土は1割まで。多すぎると用土が乾きやすくなって、水やりの手間がかかるので気をつけましょう。

また、用土の質を見極める方法として、少し湿らせた用土を手で握ると一旦は形になるものの、指で突くとすぐに崩れるくらいがよいともいわれます。手で握っても形にならないほどサラサラだったり、指で突いても崩れないほど粘り気のあるものは、おすすめできません。

基本用土のブレンドにも挑戦しよう

市販の培養土が主流になったのは30年ほど前でしょうか? それまでは赤玉土や鹿沼土(*3)などの基本用土を自分なりにブレンドするのが一般的でした。基本用土の品質は培養土に比べて安定しているので、今でも自分でブレンドする愛好家さんは少なくありません。

*1赤玉土:関東ローム層の赤土を団粒化させたもので、大中小の粒ごとに販売されている。通気性や保水性に富み、焼成されて無菌状態に近いため挿し木などにも使える。

*2腐葉土:ブナなどの広葉樹の落ち葉を微生物によって分解させたもの。肥料分はないが、通気性や排水性などに優れ、基本用土に加える改良用土。落ち葉の原形がほぼ残らないほど分解された、完熟のものを用いる。

*3鹿沼土:火山砂礫が降り積もった粒状の軽い土。赤玉土に比べて崩れにくいため、山野草などの蒸れに弱い植物に用いる。乾湿の違いが色でわかりやすい基本用土のひとつ。

基本の用土には、ほかにも黒土や関西本面でよく利用する真砂土(*4)など、さまざまあります。これらに、基本用土を補う腐葉土や堆肥、ピートモス(*5)などの改良用土をブレンドして、植物がよく育ち使い勝手のよいオリジナル用土をつくるわけです。

一般的な配合としては赤玉土小粒か中粒6:腐葉土4(関西では真砂土5:腐葉土5)などが標準になります。多肉植物や山野草など、水はけのよさを重視するものなら、標準から赤玉土を減らして鹿沼土を加えます。

*4真砂土:関西地方でごく一般的な土で、花崗岩が風化して砂礫状になっている。

*5ピートモス:湿地のコケなどが堆積した泥炭。保水性や通気性に富む。

庭に置かれたコンポストに枯葉や野菜くずなどを積み上げている。最下層が完熟した堆肥。

本来は植物の好みに合わせて用土をブレンドすると、根がよく伸びて株も大きく元気に育ちます。植物の成長や花つきを大きく左右する用土は、まだまだ奥の深い世界。じっくり試してみるのもよいでしょう。


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