ガザ即時停戦決議案を否決、国連安保理 米が3回目の拒否権行使

Michelle Nichols

[国連 20日 ロイター] - 米国は20日、アルジェリアが国連安全保障理事会に提出したイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争の人道的な即時停戦を求める決議案に再び拒否権を行使した。決議案は否決された。

アルジェリアの決議案には13カ国が賛成。英国は棄権した。イスラエルとハマスの戦争開始以来、米国が拒否権を行使したのは3回目となる。

アルジェリアのベンジャマ国連大使は国連安保理の採決に先立ち「この決議案に賛成票を投じることは、パレスチナ人の生存権を支持することになる。逆に、反対票を投じることは、パレスチナ人に与えられた残忍な暴力と集団的懲罰を支持することを意味する」と述べた。

一方、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は採決に先立ち「人質解放をハマスに求める合意がないまま即時無条件停戦を要求しても、永続的な平和はもたらされない。むしろ、ハマスとイスラエルの戦闘が長期化する可能性がある」とした。

米国が拒否権を行使したアルジェリアの決議案は停戦と人質解放を結びつけておらず、人道的な即時停戦と人質全員の即時無条件解放を別々に要求している。

英国のウッドワード国連大使は採決後「この決議案のように単に停戦を求めるだけでは停戦は実現しない」と指摘。「戦闘を停止し再開を阻止する方法は人質解放と支援に向け戦闘休止から始めることだ」と述べた。

パレスチナのマンスール国連大使は「この拒否権行使によって今日イスラエルに与えられたメッセージは、殺人を犯しても今後も逃げ続られるということだ」と述べた。

一方、イスラエルのエルダン国連大使は、停戦という言葉が「まるで地域のあらゆる問題に対する魔法の解決策や特効薬かのように」言及されていると指摘。「停戦はハマス存続というたった一つのことを達成するだけで、さらに多くのイスラエル人とガザの住人にとって死刑宣告だ」とした。

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