事故防止地区別傾向と対策 福島大生が分析、提案 県北、県中と会津は脇見運転目立つ

 県北、県中と会津は脇見運転が目立ち、県南と浜通りのドライバーは交通ルールを誤解している傾向がある―。2018(平成30)~2022(令和4)年に県内で起きた約2万件の交通事故を福島大の学生らが分析したところ、地区ごとの特徴が浮かび上がった。浜通りと会津の特徴は他の地区の事故原因の割合に比べ特に顕著だった。県警は結果を参考に事故撲滅への取り組みを強める。

 

 分析に当たった学生らが20日、県警本部庁舎で結果を発表した。地区ごとの事故の特徴は【表】の通り。

 運転手の不注意などの「人的要因」などを分析すると、県北地区は脇見運転や左折時の車両同士の事故の割合が高い上、国道での事故件数が他地区に比べて多い傾向にあった。県中地区は出合い頭の事故が課題となっており、交差点での事故への注意が必要とした。

 会津地区は脇見運転事故、南会津地区は居眠りやスマートフォン操作などによる事故の割合が高いとの結果になった。主要道路で車線をはみ出す事故などが起きている。観光客らの通行が多く、学生らは「道や標識の確認などで運転が鈍くなる」「(長時間の運転や慣れない道での)ストレス、休憩不足」などを原因に挙げた。

 運転手が交通ルールを間違って認識していたり、対向車の進路予測を見誤ったりする事故の発生割合はいわき地区が最も多く、相双地区でも多発する傾向だった。交差点で右折車が無理に曲がろうとして直進車とぶつかる事例などがこれに当たる。学生は「世代を超えて交通ルールの誤った定着がある」「違反で罰則を受けてもその後の改善が見られない」などと推察し、罰則強化や幼少時からの教育などを抑止策として提言した。県南地区では正面衝突事故の割合が他地区より高く、啓発が必要とした。

 今年の県内の交通事故死者(19日現在)は11人で、前年同期を2人上回っている。鏡石町のJR鏡石駅前で10代の2人が死傷する事故も起きており、県警は街頭活動の強化や事故防止の啓発に力を入れる考えだ。県警本部交通企画課は結果について「地区ごとの事故の傾向や特徴などが非常に細かく調べられている。若い世代の視点での対策も含め、事故抑止の参考にしていきたい」としている。

 交通事故対策などに詳しい福島大共生システム理工学類の永幡幸司教授の研究室が県警と協力し、県内で起きた人身事故のデータを詳細に分析した。

 

■県内の飲酒運転取り締まり343件 2023年、前年より36件増

 2023(令和5)年の県内の飲酒運転の取り締まり件数は343件で前年より36件増えた。県警本部が20日に発表した2023年県警察政策評価で示した。

 昨年は飲酒運転が関連した事故の死者数が前年より3人多い5人となるなど、飲酒運転の増加が問題となっていた。県警は昨年秋以降、酒気帯びや酒酔い運転の一掃に向けた大規模取り締まりや検問などに力を入れており、飲酒運転撲滅を目指す。

県内地区別の交通事故の分析結果を発表する福島大の学生

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