「倒産や休廃業」過去最多 ラーメン店悩ます“物価高騰” 値段据え置きの店は「いかに再来店してもらえるかが大事 静岡市

調査会社、東京商工リサーチによると、去年1年間で「倒産や休廃業」をしたラーメン店は合わせて74件。統計開始の2009年以来、過去最多となりました。

嶋田光希アナウンサー:「この背景にあるのが度重なる“物価の高騰”です。値上げの波が押し寄せる厳しい状況の中でも、こちらのラーメン店では、なんと平日ランチはご飯とキムチが無料で食べ放題です」

静岡市清水区にある雷神家(らいじんや)。豚骨と鶏ガラベースの濃厚なスープが特徴の「家系ラーメン」を提供しています。

雷神家 佐々木大輔代表:「何ひとつ値段が下がる物も変わらない物もないぐらい、すべて値段が上がっている。もう笑えないくらい上がっている」

お店の看板メニューは「全部乗せ雷神ラーメン」。器のふちいっぱいに盛られたチャーシューに、煮卵やネギなどがトッピングされたボリューム満点の一品です。

嶋田アナ:「すごいインパクト。チャーシューと海苔が器からはみ出している。太めの麺がスープによく絡んでおいしい」

味・ボリュームともに大満足の逸品。ただ、そこに暗い影を落とすのが“物価高騰”です。

雷神家 佐々木大輔代表:「うちのラーメンはお肉、全部乗せラーメンは特にお肉を多く乗せるので、やはりチャーシューの比率が高いラーメンに関しては、けっこうダメージが大きい」

ラーメンの具材がほとんど高騰する中、チャーシューの値上がりは特に顕著で、その仕入れ値はおととしのおよそ1.4倍にまで上昇しているといいます。

雷神家 佐々木大輔代表:「お肉に関わる全て、豚骨・鶏ガラ・背油・鶏肉全般も上がっているので、もう全て…。ラードも上がっているし」

対策といえど、実際にやれることはごくわずか。とはいえ、同じ食材でも、より安く仕入れることにこだわり業者と交渉をするなど、手段を講じています。

値段据え置きの店では…

そんな状況の中、こちらのお店では…。

嶋田アナ:「ラーメンにプラスして、ライスとキムチが無料で食べられるなんてこれは満足度高い」

なんと平日ランチは、ライスと自家製のキムチが無料で食べ放題。苦境に立たされているにも関わらず、一体なぜ…

雷神家 佐々木大輔代表:「うちのお客さんは学生やサラリーマンなどガッツリ食べる人が多いので、自分も食べるのがすごく好きで、お腹いっぱいになると幸せになるので、少しでも皆さんに幸せになってもらいたいので」

このサービスは佐々木代表にとって、利益うんぬんではなく、「お腹を満たして幸せになってほしい」という料理人としての矜持。オープンから間もなく一年、“お客さん第一”の精神で、ラーメンの値段は据え置きのまま、食べ放題も継続中です。

雷神家 佐々木大輔代表:「(収支の)数字を見ると『ん?』という気持ちになるが、喜んでもらえる姿を見たら、『まあいいかな』みたいな気持ちになるので、なんとかやっています」

お客さんは

その甲斐あって、お客さんの満足度は高いようで…。

客(静岡市民)
Q.ライスとキムチの無料食べ放題はどう?
A.「すごくお店がんばってるなと思う。ネットではラーメン店が潰れるという話は…、ラーメン店に限らず商売する人たちは大変だと思うが、消費者にとってはすごくありがたい(サービス)」

さらに、食事をした人全員、次回使える無料トッピング券がもらえるサービスも。

「同業者の休業や倒産が相次ぐ」という暗い話題もある中で、今後もこうした、「お店独自のサービス」は続けていきたいと意気込みます。

雷神家 佐々木大輔代表:「原価率が上がって利益が少なくなったからといって、材料を減らすのも嫌だし、サービスを減らすのもやっていて楽しくないし、(客の)喜ぶ顔が見たくてやっているので、単純にお客さんの数が増えれば、利益が少なくても母数としては増えるので、いかに再来店してもらえるかが一番大事だと思っている」

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