春闘、ホンダとマツダが満額回答 中小企業や他産業の交渉への弾み期待

Kentaro Sugiyama Maki Shiraki

[東京 21日 ロイター] - 2024年の春季労使交渉(春闘)が本格化する中、自動車大手のホンダとマツダが21日、組合要求に満額回答した[L3N3F6180]。大手メーカーから早期に前向きな結果が出たことで、中小企業へ波及や他産業の交渉に弾みがつく可能性が指摘されている。

ホンダとマツダは3月13日の指定日を待たず前倒しでの回答だった。24年春闘における主要な産業別組織の賃上げ要求方針は物価高などを背景に23年を上回る要求となっており、「個別企業でも乗り遅れてはいけないという雰囲気が広まると、満額回答が続く可能性がある」(国内証券エコノミスト)との見方が出ていた。

連合がまとめた23年春闘の賃上げ率は3.58%と30年ぶりの高水準だったが、物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、実質賃金は昨年12月まで21カ月連続のマイナスとなっている。岸田文雄首相は物価高から国民生活を守り、物価上昇を上回る賃上げを必ず実現するとし、経済界に今年の春闘で昨年を上回る賃上げを強く要請してきた。

日銀も賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価目標達成を見通せるようになったか判断するにあたって、春季労使交渉の状況は「重要なファクターの一つになる」(内田真一副総裁)としている。

今後、注目されるのはトヨタ自動車の動向だ。昨年まで2年連続で初回交渉時に満額回答を表明していたが、今年の初回交渉では賃上げに言及しなかった。裾野の広い自動車産業の最大手である同社から前向きな結果が示されれば、業界内外や中小企業の春闘に好影響を与えそうだ。

主要産業別組織の要求方針

組織名 23年春闘 24年春闘

連合 3%程度(定昇分込みで5%程度) 3%以上(定昇相当分込みで5%以上)

金属労協 月額6000円以上 月額10000円以上

UAゼンセン 4%程度(定昇相当分込みで6%程度) 4%基準(定昇相当分込みで6%基準)

自動車総連 各単組の目指すべき水準に向けて要求 各単組の目指すべき水準に向けて要求

電機連合 月額7000円以上 月額13000円以上(定昇相当分込みで20000円)

JAM 月額9000円基準(定昇相当分込みで13500円以上) 月額12000円基準(定昇分込みで16500円以上)

基幹労連 月額3500円以上 月額12000円以上

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