中国人観光客、豪州より東南アジアに ビザ政策や節約志向が影響

[シドニー 21日 ロイター] - 旅行会社や観光業界のデータによると、中国本土の観光客はビザ(査証)なしで入国できる東南アジアを旅行先に選び、ビザが必要なオーストラリアへの旅行が減っている。節約志向が高まり、近場に旅行する動きが広がっているという。

オーストラリアは中国人に人気の旅行先だったが、シンガポール、タイ、マレーシアはビザを免除している。

オーストラリアの旅行会社イージー・ゴーイング・トラベル・サービシズのジョニー・ニー取締役は、今月の春節(旧正月)期間中のビジネスが新型コロナウイルス流行前の40%にしか回復しなかったと指摘。シンガポール、タイ、マレーシアでは観光客の数と支出が新型コロナ前の水準を上回った。

同氏は「中国経済の先行きは不透明で、中国人観光客は価格に敏感になっている。近場の旅行先を選んでいるようだ」とし、航空運賃や宿泊費など旅行費用が新型コロナ前より20%値上がりしていると指摘。「タイやシンガポールのビザ免除政策は非常に魅力的だ」と述べた。

オーストラリア観光輸出協会(ATEC)によると、春節期間中に同国を訪れた観光客に中国人が占める割合は約26%。新型コロナ流行前の2019年は50%を超えていた。外国人観光客を扱う旅行会社の売上高は19年の半分以下という。

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