藻場を食い荒らす厄介者「ムラサキウニ」が養殖で"おいしい食材"に 19店がウニ活用したメニュー提供

漁業に影響を与える磯焼けの原因として、厄介者扱いされてきたムラサキウニ。ちゃんと育てるとおいしい食材に活用できることが判明しています。ムラサキウニの料理を提供する「とっとりウニムースフェア」が、鳥取県内で開かれています。

まずお邪魔したのは、鳥取県にある鳥取港すぐ近くの料理店、海陽亭。

グラスに固められているのが、このぎんりんグループが2023年の夏に開発した「鳥取ウニムース」です。

材料となるムラサキウニは近年、県内の藻場で海藻などを食い荒らし、サザエなどが育たなくなる、いわゆる「磯焼け」の原因として厄介者扱いされていましたが、きちんと養殖するとおいしく育つことが判ってきました。

駆除された厄介者が、おいしいウニに変身です。

ぎんりんグループ 東田慶 専務
「そういう循環ですね、生産者の方もありますし、私どもの料理人がおいしい料理を作って、それをお客さんに召し上がっていただく、そういう流れができたらいいなと思っています」

駆除されたムラサキウニは、スカスカでおいしくないとの評判でしたが、調べてみるとスカスカなのは大量発生したウニ同士がエサを奪い合っているからで、キャベツやブロッコリーをエサにきちんと養殖するとおいしい食材になります。

日本財団の「海と日本プロジェクト」のひとつとして、鳥取県漁協などが養殖に取り組んでいます。

イカやイクラをトッピングして「鳥取ウニムースと白いかのマリアージュ」の出来上がりです。

日野彰紀 記者
「クリーミーなムースにすることでウニの味わいが上手に引き出されてるんですね」

ぎんりんグループのこのムースは、県外のイベントでも評判になった味です。

ぎんりんグループ 東田慶 専務
「食べやすくアレンジしたいというところがあったので今回豆乳と合わせてムース状態にさせていただきました。まろやかさが出てきますし、かといってウニの味は消えませんし」

ぎんりんグループのウニムースに触発されて、ほかの店でもウニの料理を提供するのが鳥取県などが開くウニムースフェア。

鳥取市などから19店が参加しました。

参加している店の1つが、料理とお酒、コーヒーがおいしい夜のカフェ「Luzcafe」。

丸い形をカットして盛り付けたのが、この店のウニを使った料理。

仕上げにオリーブオイルをかけて「鳥取ウニムースとエビのキッシュ」の出来上がりです。

Luzcafe 大西雄也 代表
「フランス料理、それの朝食で作るキッシュというのがまだ少なかったのかなと思いまして、出してるお店が。なので、鳥取県の名産であるモサエビとウニを掛け合わせて使ってキッシュを作ろうと思いまして」

エビの味に負けないようにと、ムラサキウニも多めに使った一品です。

日野彰紀 記者
「ムラサキウニとモサエビをつかったとのこと、すごい磯の香りですね、白ワインが合うそうですが、お酒が欲しくなります」

厄介者からおいしい食材に、ムラサキウニの可能性を広げる「とっとりウニムースフェア」は、2月25日までです。

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