【連載コラム】第52回:殿堂入りした「同年新人王コンビ」 大谷&アクーニャJr.は史上何組目になるのか

写真:大谷翔平とアクーニャJr. ©Getty Images

先日、歴代のアワード受賞者を改めて整理する機会がありました。昨季は2018年の新人王コンビである大谷翔平とロナルド・アクーニャJr.がそろってMVPを受賞したことが話題になりましたが、そろってアメリカ野球殿堂入りを果たしている「同年新人王コンビ」は過去に3組存在します。1956年新人王のルイス・アパリシオとフランク・ロビンソン、1967年新人王のロッド・カルーとトム・シーバー、そして1977年新人王のエディ・マレーとアンドレ・ドーソンです。大谷とアクーニャJr.もこのまま順調にキャリアを歩んでいけば、そろって殿堂入りする可能性は高いと思われますが、この2人は史上何組目になるのでしょうか。

次に殿堂入りする「同年新人王コンビ」になることがほぼ確実なのは、2001年新人王のイチローとアルバート・プホルスです。通算3089安打をマークしたイチローは、次回(2025年度)から殿堂入り投票の候補者となり、有資格初年度での殿堂入りが確実視されています。2022年に史上4人目の通算700本塁打を達成して有終の美を飾ったプホルスは、2028年度の投票から対象になりますが、こちらも有資格初年度での殿堂入りは間違いないでしょう。そろって「一発当選」ならば、カルーとシーバーに続いて史上2組目の快挙ということになります。

ただし、イチローとプホルスの前に殿堂入りを果たす可能性のある「同年新人王コンビ」が存在します。1964年新人王のトニー・オリーバとディック・アレンです。3度の首位打者を獲得したオリーバは2022年に時代委員会の投票で殿堂入り。1972年に本塁打と打点の二冠を獲得してMVPに輝いたアレンは「殿堂入りすべき選手」という声が高まっています。2014年と2021年の時代委員会による投票では、いずれも1票不足で落選。次回(2025年度)の時代委員会による投票で再び候補者となる可能性があり、そこでアレンが当選すれば、オリーバとアレンが史上4組目、イチローとプホルスは5組目ということになるでしょう。

2002年以降の新人王受賞者に目を移すと、次にそろって殿堂入りしそうな「同年新人王コンビ」は2012年新人王のマイク・トラウトとブライス・ハーパーになります。通算WARがすでに85を超えているトラウトは、今すぐに引退しても殿堂入りできるでしょう。ハーパーは今後の活躍次第ということになりますが、「40代になってもプレーしたい」と話しており、通算600本塁打や3000安打のマイルストーンに到達する可能性もあります。そろって殿堂入りする可能性は極めて高いと言えるのではないでしょうか。

2017年新人王のアーロン・ジャッジとコディ・ベリンジャーにもチャンスがありそうです。ジャッジはどれだけ健康にプレーできるか、ベリンジャーは昨季の復調がホンモノなのか、といった点がポイントになるでしょう。今季終了後には、もう少しハッキリと見えてくるかもしれません。

そして、2018年新人王の大谷とアクーニャJr.にも十分に可能性があります。大谷は直近3シーズンの歴史的な活躍を考えれば、「メジャーで10年間プレーする」という最低条件さえクリアすれば、殿堂入りする可能性はかなり高いと思います。アクーニャJr.も順調に活躍を続けていけば、殿堂入りに値する通算成績を残すことができるでしょう。よって、そろって殿堂入りする「同年新人王コンビ」は大谷とアクーニャJr.が史上6~8組目ということになりそうです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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