ピッペンが“真剣勝負”とは無縁の近年のオールスターに警鐘「選手は誰もそこにはいたくないと思っている」<DUNKSHOOT>

今年のNBAオールスターゲームは2月18日(日本時間19日)にインディアナポリスのゲインブリッジ・フィールドハウスで行なわれ、イーストが211-186でウエストを下して勝利した。オールスター史上初の200点超えとなったが、殿堂入り選手のスコッティ・ピッペン(元シカゴ・ブルズほか)は“真剣勝負”から大きくかけ離れている近年の祭典に警鐘を鳴らしている。

MVPには3ポイント成功11本を含む39得点をマークしたデイミアン・リラード(ミルウォーキー・バックス)が選出されたが、オールスターゲームでの1チーム200得点超えは史上初。前半の計193得点は昨年の191得点を更新、両チーム計397得点は2017年の計374得点を更新、イーストの3ポイント成功数42本は2019年にチーム・レブロンが記録した35本を更新と記録づくしのオールスターだった。

オールスターはスター選手たちが集う華やかな祭典である一方、ケガのリスクを回避するために激しい“バトル”は見られなくなり、緩いディフェンスへの厳しい声や、真剣勝負を望む声も上がってきた。

元NBA選手で現在はアナリストを務めるケンドリック・パーキンス(元ボストン・セルティックスほか)は、「恥であり、バスケットボールへの敬意を欠いている」と試合内容を痛烈に批判した。
現役時代に7度球宴に出場し、94年大会ではMVPに輝いているピッペンも、近年のオールスターゲームの意義には疑問を抱いているようで、オーストラリアのプロリーグNBLファイナルのイベントに出席した際、NBAオールスターについて語った内容を『オーストラリアン・アソシエーテッド・プレス』が伝えている。

「近年、オールスターゲームや試合の重要性に関して同様のことが起こっている。すべては選手たち次第で、彼らが競い合いたいかということだ。ある選手が『誰もそこ(オールスター)にはいたくないと思っている』と言っているのを聞いた。すべての物事には時と場所がある。おそらく今の選手たちは年俸をもらい過ぎていて、シーズン途中にファンを熱狂させるようなエネルギーや興奮を生み出せるとはもう思っていないんだ。いいことよりも、損害の方が大きいことを考えると、リーグが検討すべきことかもしれない」

史上最多となる20回目の選出となった39歳のレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)は、14分の出場で8得点にとどまり、後半はプレーせず。試合後には「今夜のゲームで良かったことは、どの選手もケガをしなかったこと。全員が“無傷”で済んだ」と語ったという。

今季はシーズン途中に「インシーズン・トーナメント」が導入されるなど、NBAも盛り上げるための施策を実施しているが、オールスターも今後、本格的な改革が必要になるかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

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