公立高校入試の面談形式の「自己表現」 2年目を迎える全国初の試み 成果と課題

広島県教委が公立高校の入試改革の一環として、去年から導入した面談形式の「自己表現」は、全国初の試みでした。1週間後に迫った入試を前に、中学側の動きや行政の対応を探りました。

■教諭

「それでは自己表現お願いします」

■女子生徒

「これから私の今まで頑張ってきたこと、高校で頑張りたいこと、将来の夢について話します」

広島市の祇園東中学校で3年生の生徒が取り組むのは、「自己表現」の練習です。

■男子生徒

「私は小学1年生のころから9年間野球をしてきました。小学校の少年野球チームではキャプテンを任されました」

■女子生徒

「私の将来の夢は看護師になることです。優しく接する看護師の姿を見て興味を持ち、憧れがあったからです」

「自己表現」の発表時間は、5分間…。生徒は頑張ってきたことや将来の希望を、各自の方法でアピールします。

■教諭

「どうしても下向いてやったら読んでるなと伝わる伝えたいという思いが大事だと思うんよ」

「しっかり本番頑張ってください」

試験会場には道具も持ち込めます。タブレット端末を駆使したり、歌やダンスを披露するのも生徒の自由です。

採点基準は、自己を認識する力。自分の人生を選択する力。表現する力の3つです。面接官が、それぞれを3~5点の間で採点します。これは、入学定員の半数以上を占める「一般枠」での配点の割合です。5教科の学力検査が6割。調査書が2割。「自己表現」は2割になっています。

「自己表現」は、「社会で必要な力を身に着ける」ことを目的に、去年、全国で初めて導入されました。生徒の受け止めは…。

■女子生徒

「自己を認識する力が必要となって、自分が好きなことをはっきりすることができた」

■女子生徒

「当日、点(学力検査)が取れなくても、自己表現で賄って合格する可能性が上がる」

そして不安の声も…。

■女子生徒

「(私は)緊張してわけわからなくなってしまうので、緊張しやすい人には自己表現は難しいです」

■男子生徒

「5教科も怠るわけにはいかないから、それプラスで自己表現の時間を入れるとなると睡眠時間とかも減る」

指導する教諭も、対策の難しさを感じています。

■教諭

「基準がわからないんですよ中学校では。高校がどういう基準にしているのか」

■教諭

「何が正解かというのがわからないので、こちらとしては不安がありますね」

教育現場で広がる困惑…。公立高校を敬遠する私立志向の流れに拍車をかけているのではとの指摘もあります。21日の県議会で、平川教育長は…。

■平川教育長

「私立高等学校授業料の実質無償化などが背景にある中で、入学者選抜制度の変更が、入学者減少の要因であるとは言い切れないものと考えております」

2年目を迎え、見えてきた「自己表現」入試の成果と課題…。子どもたちの成長を促す制度になるのか…。試行錯誤が続きます。

《2024年2月21日放送》

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