屋久島沖墜落で運用停止中のオスプレイ 数週間内に飛行再開か 米報道 米軍は「機器故障を特定」

奄美空港に米空軍CV22オスプレイが緊急着陸した際、エンジンやギアボックス周辺を整備する米軍関係者=2018年6月、奄美市

 鹿児島県屋久島沖で昨年11月に発生した米空軍CV22オスプレイ墜落事故で、米空軍特殊作戦司令部は20日、事故の際に発生した機器の故障を特定したと発表した。故障の原因は調査中とし、詳細は明らかにしていない。米NBCニュースは複数の軍関係者の話として、数週間以内にオスプレイが飛行を再開する可能性があると伝えた。

 特殊作戦司令部によると、安全調査委員会と事故調査委員会を設置し、機器の故障原因を調べるため工学的なテストと分析を続けている。結果は事故調査完了後に公表するという。

 NBCニュースは19日、事故原因について、米軍がエンジンとローターをつなぐギアボックスを検証していると報じた。ギアボックスは左右両側にあり、車のギアと同様の役割を持つという。これまでボックス内に金属片が発生するトラブルが7件あり、死者は出ていないとしている。

 陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイ1機は2023年8月、ギアボックス内に金属片が発生して警告灯がつき、静岡県の航空自衛隊静浜基地に予防着陸した。

 ギアボックスに関わるトラブルとして、プロペラとエンジンをつなぐクラッチが滑り、再結合する際に衝撃が出るハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)が知られる。22年に米国で5人が死亡した事故の原因となった。

 日本国内でのオスプレイ運用前には必ず日本政府と調整するようオースティン米国防長官から関係部署に指示が出ている。防衛省は「米軍の発表や報道は承知している。事前調整の連絡は来ていない」とした。

 事故機は昨年11月29日、岩国基地(山口)から嘉手納基地(沖縄)に向かう途中に墜落。米軍は全搭乗者8人の死亡を認定した。機材そのものに不具合の可能性があるとして、世界中のオスプレイの運用を止めた。14機を暫定配備する陸上自衛隊も飛行を見合わせている。

© 株式会社南日本新聞社