大手モールで再出発 地震で損壊の富山・一番町珈琲 大浦さん夫婦「市場」出店縁に移転

大手モールでコーヒー店を再出発させる大浦さん夫妻=富山市総曲輪4丁目

 能登半島地震で被災した富山市中心部のコーヒー豆の焙煎(ばいせん)店「一番町珈琲(いちばんまちコーヒー)」が3月、大手モールに移転して再出発する。市中心部を盛り上げたいとの思いで開店してから1年3カ月で被災の憂き目に遭ったが、大手モールの定期市「越中大手市場」に出店していたことが縁となり、再開のめどが立った。大浦英朗代表(42)は「人とのつながりに感謝している。これからも地域の活性化に貢献したい」と意気込む。

 大浦さんは富山市出身の元証券マンで、青春時代を過ごした市中心部に活気を取り戻そうと脱サラした。妻でルーマニア出身の大浦・オアナ・マダリナさん(41)とともに2022年10月末、一番町交差点に店を構えた。

 焙煎したての豆を届けることにこだわり、店内でオリジナルのブレンドコーヒーも提供した。固定客も増え、事業は軌道に乗った。

 しかし、元日、日枝神社の初詣客の人出が一段落したタイミングで地震が襲った。壁と接続している焙煎機の煙突がずれたことで焙煎機が使えなくなり、営業できなくなった。

 移転先を求め、一番町の店舗から約150メートルの大手モールで、大浦さんは越中大手市場実行委員会の秋吉克彦会長に相談。秋吉会長からラーメン店「末弘軒」代表の山口一弘大手モール振興会長の紹介を受け、店の隣に所有する2階建てビルの1階に入居することが決まった。山口会長は「まちの活性につながる」と歓迎した。

  ●新メニューも開発「前向きに」

 大浦さんは「いつも足を運んでくれるお客さんに引き続き利用してもらえる」と喜んだ。3月25日開業予定の新たな店では、客席を増やし、テークアウトメニューも充実させる。ナンのような食感の生地が特徴の「ルーマニアピザ」など、現在は新メニューの開発を進める。マダリナさんは「一時はどうなることかと思ったけど、ポジティブな気持ちでまた頑張っていきたい」と笑顔を見せた。

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