ガザへの支援物資搬入が急減、治安崩壊で配布困難に=国連

Aidan Lewis

[21日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザに搬入される支援物資がここ2週間で急減している。国連のデータおよび当局者の話で分かった。治安の崩壊に伴い支援物資の配布が一段と困難になっているという。

ガザへの物資輸送トラックは、紛争以前は1日当たり500台、激しい戦闘があった1月でもほぼ毎日約200台が通過していた。しかし国連のデータによれば、2月9日─20日は平均で1日当たり57台まで減少。このうち7日間は20台以下、2月17日はわずか4台だった。

ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所経由の輸送はほぼ完全に停止。イスラエルとガザの境界にあるケレム・シャローム検問所経由では時折トラックが到着するものの、配布を阻止しようとするイスラエルのデモ隊によって頻繁に妨害されている。ケレム・シャローム検問所は2月8日─10日、15日─17日の期間に閉鎖された。

両検問所からガザに入る全てのトラックを検査するイスラエルは、支援物資の停滞は国連の要因とし、イスラエルには検査を早める用意があると指摘。ケレム・シャローム検問所のガザ側には支援物資を積んだ450台のトラックが待機しているとし、国連機関などによる「十分かつ効率的な働きがあれば、物資の配布は改善する」とした。

一方、国連はガザ内の治安が崩壊しているため、支援物資の配布が困難になっていると反論。支援物資の安全な配布を確保する責任はガザの大部分を支配しているイスラエル国防軍(IDF)にあるとし、ケレム・シャローム検問所に積み上がった支援物資は安全な配布を可能にする環境が整っていない証拠とした。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、イスラエルの空爆により少なくとも8人の警官が死亡したことを受け、パレスチナ警察は輸送トラックの護衛を中止した。

ガザ内では自暴自棄になった住民が輸送トラックを襲い支援物資を奪っているという。

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