ACLラウンド16で幕を閉じたJ2甲府の大冒険。自慢のアフロ復活のFW三平和司が語った感謝と手にした財産とは

[ACLラウンド16第2戦]甲府 1-2 蔚山現代/2月21日/国立競技場
※2戦合計 甲府 1ー5 蔚山現代

2022年の天皇杯を制し、J2クラブとして挑んだ甲府のACLが幕を閉じた。

昨年行なわれたグループリーグは3勝2分1敗で堂々の首位突破。ラウンド16では韓国の強豪・蔚山現代と対戦したが、アウェーの第1戦を0-3で落とすと、国立競技場での第2戦は、多くのチャンスを作りながら決め切れず。

FW三平和司が一矢報いるもトータルスコア1ー5で敗れた。もっとも試合後には甲府の奮闘に温かな拍手が送られ、チームとしても貴重な経験を得られたと言えるだろう。

「他のチームでは経験できないことを経験できました。(天皇杯の戦いから)3年がひとつの物語のようになっていて、本当に楽しかったですし、ここまで来られるとは、選手ももしかしたら思っていなかったかもしれないです。また出たいという気持ちがすごくあるので、僕は歳的に無理かもしれないですが、若い子はまたヴァンフォーレをACLに連れていけるようになってくれれば良いですね」

チームの顔である36歳の三平も敗戦を悔しがりながらそう振り返る。

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ACLは甲府の選手たちにとって夢の舞台であり、三平も力強く語る。

「めちゃくちゃ幸せでした。去年戦っていてこんなに面白いんだと、こんなに国によってサッカーが違うんだと感じましたし、本当にすごい良い経験ができました」

そしてこの体験をJ1昇格、そして未来へつなぐことが求められる。

「(相手は)一人ひとりが上手かった。ただすごい差があるかといえば、場面によって勝てるところはあったので、若い子なんかは、自分に足りないところは分かったはずですので、そこを練習で培っていけば、代表になる選手も出てくるかもしれないなと、良い感覚を掴めたと思います。

今日足りなかったところを自分に矢印を向けてやっていけば、リーグ戦の勝利につなげられるはずです。ただどの試合も甘くないので、油断せずにACLで良い戦いができたから、リーグ戦で余裕ということはないので、気を引き締めてやっていきたいです」

今大会はスタジム基準を満たせず、本拠地でホーム試合を開催できずに国立競技場で戦い続けてきた。

その点を三平も少し残念がった。

「小瀬でやれれば一番良かったかもしれないです。ホームだけどちょっとアウェーと言いますか、自分たちのピッチでやれないというのはありました。山梨でやれればもっと、山梨の子どもに夢を与えられたかもしれません。

J1に上がって専用スタジアムを持つべきだと認めさせなくちゃいけないですし、結果次第で変わると思うので責任を持ってやりたいです」

もっとも国立のスタンドには、自クラブのサポーターに加え、Jリーグの他クラブのサポーターも駆けつけ、甲府を後押しする姿が話題となり、三平も感謝を口にした。

「本当にありがたいです。それがサッカーの良いところなのかもしれないですし、“J2の代表”という横断幕を出してくれた人もいました。その人たちのためにもっとやらなくちゃいけなかったと思うのですが、本当に幸せでした」

ちなみに三平は今季一度、やめていたアフロヘアを復活。

「アフロのマンネリ化だったので。周りは残念がっていたので作戦通りでした。アフロでゴールを取れて良かったです」と周囲を笑わせた。

記憶にも記録にも残った甲府の戦いぶりは、今後も語り継がれていくだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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