石川の海の幸、滋賀で販売します 震災で営業できない水産業者を支援する同業者の思いとは

初回のイベントでベニズワイガニを販売する高橋さん(左から2番目)=1月27日、長浜市

 能登半島地震で被災した石川県の水産業者が滋賀県長浜市で23日、ベニズワイガニやブリなど鮮魚の販売を行う。震災で店が営業できない業者のために、滋賀県甲賀市の同業者らが企画した。主催者は「被災地には仕事ができずに生活が困難な人も多い。継続可能な取り組みで自立に向けた支援をしたい」と来場を呼びかけている。

 企画したのは甲賀市の鮮魚販売鈴木隆将さん(45)ら5人による実行委員会。地震から5日後の1月6日に知人の同業者、高橋洋一さん(38)=石川県中能登町=から「地震で店が営業できなくなった。子供もいるので生活が大変だ。何とかならないか」と電話があった。

 高橋さんは石川県七尾市の道の駅で5年前から鮮魚販売をしてきたが、土地の隆起や陥没、上下水道破損で営業ができなくなった。現在も復旧のめどは立っていないという。

 鈴木さんは「一時的な物資や義援金ではなく、生活の自立のため高橋さんの仕事を作りたい」と知り合いに声をかけて実行委を作り、同27日に高橋さんのベニズワイガニ販売をメインにしたマルシェを長浜市の長浜観光農園「ごんせ」で開催した。用意した100杯のカニは20分ほどで完売したという。高橋さんは「『愛知から来た』『友人が能登で何か支援をしたいと訪れた』との客の声に励まされた」と喜ぶ。

 2回目となる2月23日は高橋さんのほか、別の被災業者も招待し、「ごんせ」で午前11時~午後4時に開く。高橋さんは「前回の2~3倍のカニを持って行きたい。当日早朝入荷の予定で、新鮮さを味わってもらえれば」と話す。ベニズワイガニは1杯2千円から。カニ汁や海鮮丼なども売り出す。キッチンカーの出店や大道芸人らによるイベントもある。

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