利益成長が支援、4万2000円は十分可能=コムジェスト ケイ氏

Ankur Banerjee Noriyuki Hirata

[東京 22日 ロイター] - フランス系資産運用会社コムジェストのポートフォリオマネージャー、リチャード・ケイ氏は、日経平均株価の見通しについて、今後も上値余地があり、4万2000円は十分可能だとの考えを示した。継続的な利益成長が株高を支えるとみている。

ケイ氏は「フローと為替の面から、日本は他の市場とは2つの大きな違いがある」と指摘する。

為替については、円は数十年来の低水準にあり、米国との金利格差が縮小すれば逆回転が見込まれる。円高は輸出関連企業の株価にはネガティブだが、円建て資産の価値が向上するため海外投資家にとっては投資妙味が高まる。

先行き、円高への巻き戻しや、国内の機関投資家による国内市場への資金回帰があれば「日経平均は株価や業績の単純な分析から示唆される以上の水準に押し上げられる可能性がある」とみている。

国内にはゆうちょ銀行など世界最大級の投資家が含まれるが「この30年間、自国の市場を大幅に過小評価してきた」という。

日本株の評価が米国や欧州と同等になると仮定すれば「4万2000円への上昇は十分可能だと考えている」と、ケイ氏は話す。継続的な利益成長が株高の支えになるといい「5月に多くの日本企業が発表する通期業績見通しが日経平均を支援するだろう」と語る。 日経平均の構成銘柄にとって「非常に好都合な状況が同時に重なることは非常に珍しい」とも指摘した。

個別企業に関しては、ファーストリテイリングはアジアでのブランド確立、東京エレクトロンは先行きの半導体投資の大幅増加、アドバンテストは米エヌビディア向けチップのテスターでのシェア拡大が見込まれるほか、トヨタ自動車は、ハイブリッド車戦略でシェアを拡大している、との受け止めを示している。

最高値を上回ることは未知の領域に入ることを示す。投資家心理への影響を推し量るのは難しいとしながら「株高の引力は予測できないほどの国内流動性を引き寄せる可能性がある」とみている。

一方、けん引役となるセクターは変化するとの考えを示した。今後の日本株高の要因として、市場では金融政策の変化やガバナンスの改善への思惑があるが「想定されるほど大きな変化は見込まれず、根拠としてはかなり弱い」という。

日本株が2022年辺りから上昇してきた局面では、銀行や商社、海運、自動車がけん引役だったが、今後は「半導体関連などのハイテク企業や、医療機器関連の企業、国内の社会変革を推進する企業のうち、これまで光の当たっていない銘柄こそ、日本の隠れた財産であり、次の段階の上昇相場をけん引するだろう」と話している。

ケイ氏は1994年に当時の日本興業銀行でハイテク株のアナリストとしてキャリアを始め、米証券などで日本株の調査などを手掛けてきた。

(平田紀之、Ankur Banerjee 編集:橋本浩)

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