新たな価値でニーズつかめ! 北海道のスタートアップ企業

今回のけいナビは、北海道内のスタートアップ企業特集。道内では昨年9月、国、道、札幌市が連携しスタートアップ企業を支援する組織を設置。そうした状況の中、設立から間もない2社の動きを追った。

1月29日から2月2日までの「北海道イノベーションウイーク」中に行われた「ポーラーベアーピッチング」。国内外のスタートアップ8社と投資家らが参加し行われたイベントだ。氷水につかっている間、自社の事業内容を紹介できるというフィンランド生まれのユニークな取り組みだ。

このイベントに参加したのが、「食事改善プログラム」を提案し販売する札幌の会社UANGO(ウアンゴ)だ。昨年10月に設立されたばかりの新しい会社で、食事メニューを見直すことで体の不調を改善するサービスが事業の柱だ。

立ち上げた小田李花さんは、夫の体調が食事メニューを見直したことで良くなったことをきっかけに起業を決意。現在の顧客は300人ほどだが、イベントでふるまったみそ汁が外国の人たちに好評だったことから、「数年後にはヨーロッパやアジア圏で販路を広げたい」と意欲を見せている。

浦幌町のフォレストデジタルは、360度カメラで撮影した映像を部屋全体に映し出すことができる空間型VR「うらら」を開発、全国各地の約600もの映像を提供できるサービスを手掛けている。

設立は2019年。代表の辻木勇二さんは、「テクノロジーは私たちを幸せにしてくれるのか?」という疑問から起業し、このサービスを生み出した。大手企業も注目していて、東京・丸の内にある三菱地所のオフィスビルの一室に「十勝の森」を映し出す実証実験が先日行われた。

入院中の子供たちに向け、バスや電車に乗車した気分を味わえるソフトも用意した。辻木さんは「映像を見た5歳の女の子が、『退院後に出かけるのが楽しみ』と言ってくれた。起業して本当に良かったと思った」と話す。今後、医療現場での導入拡大が期待されている。

スタートアップ企業の事業内容に磨きをかけ、成長を後押しする会社もある。札幌のD2ガレージだ。

スタートアップ北海道実行委員会の副委員長も務める同社の佐々木智也社長は、成功の条件について「本当にそのサービスがお金を出してでもほしいと思われるものか、なくてはならないものか、考え抜くこと」と説明。その上で「成功した人が後に続く人に投資をする流れをつくることが重要」だとした。

番組MCの杉村太蔵さんは、「リスクマネーを用意し、失敗しても何度でもチャレンジできるアメリカのような環境をつくる必要がある」とまとめた。

(2024年2月24日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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