コーチ陣が固まらないルネが、半年前に別れた名将ムラトグルを再招聘!「目標達成をサポートしてくれる最適の人物」<SMASH>

度々コーチを変更し、チームの布陣が固まらない男子テニス世界ランク7位のホルガー・ルネ(デンマーク/20歳)。そんな彼が昨年9月に師弟関係を解消した名将パトリック・ムラトグル氏(フランス/53歳)と再びコーチ契約を結んだ。

現在20歳のルネは苦戦が続いていた昨季終盤に、約14年苦楽を共にした同郷のラース・クリステンセン氏(60歳)と別れを告げ、新たに元世界王者のボリス・ベッカー氏(ドイツ/56歳)とタッグを結成。年末にはロジャー・フェデラー(スイス/22年に引退)を長年指導したセベリン・リュティ氏(スイス/48歳)も招聘した。

ところが2回戦で敗退した今年1月の全豪オープン終了後に、ルネはリュティ氏との関係を突如解消。ジュニア時代から自身を知る元世界41位のケネス・カールセン氏(デンマーク/50歳)が新コーチに就任したが、その矢先にベッカー氏とも離別し、最近はチーム編成が目まぐるしく変わっている。

そして今回はムラトグル氏の再招聘。今後はカールセン氏とムラトグル氏がメインコーチとしてルネをサポートすることになっており、来週出場する「メキシコ・オープン」(2月26日~3月2日/ATP500)から早くも新チームがスタートする予定だ。

実はルネは当時13歳だった2016年に、ムラトグル氏がフランスで運営するテニスアカデミーに入門し、長らくトレーニングを積んでいた。度々同氏の選手育成力を称賛していたルネは、22年10月にシーズン終了までの期間限定でムラトグル氏を招聘。するといきなり11月のパリ大会(ATP1000)で快進撃を見せ、決勝ではノバク・ジョコビッチ(セルビア/現1位)を破ってマスターズ初優勝を成し遂げた。
23年もムラトグル氏との契約を延長し、クレーシーズンではミュンヘン(ATP250)で優勝、モンテカルロとローマ(ともにマスターズ1000)では準優勝を果たしたルネだったが、9月に2人は別々の道を歩むことに。以降は結果を残せない時期が長く続いたことを踏まえれば、やはりルネにはムラトグル氏の指導が一番しっくりくるのだろう。

海外メディア『Tennis Majors』によると、ルネはムラトグル氏を再びチームに迎え入れたことについて期待感を覗かせながら次のようにコメントしている。

「僕が四大大会のタイトルを獲得し、世界一になるという目標を持っていることは誰もが知っている。そのためには、適切なコーチやチームが自分の周りにいることが必要だ。何がうまくいき、何がうまくいかないのかを知るために、幾つかのことを試さなければならない場合もある。ここ数カ月間、僕は自分にとって何が効果的であるか多くを学んだ。パトリックはチームを率い、僕の目標達成をサポートしてくれる人物として最適だと信じている」

一方のムラトグル氏もルネとの再タッグ結成を喜んでいる。「ホルガーと新たな協力関係を開始できることに興奮している。我々は彼が13歳の頃からの仲で、私は彼の可能性を常に信じてきた。彼には大きな目標があり、私も彼のために同じ目標を持っている。新たな冒険の始まりだ」

約半年の時を経て再会を果たすルネとムラトグル氏が、どのようなケミストリーを生み出すのか注目しよう。

文●中村光佑

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