『花を愛して』2月の牧野植物園 春の気配を感じさせる花々【高知】

高知県内で見頃を迎えた花や植物に愛情を注ぐ人たちの思いを伝える「花を愛して」。

2月の県立牧野植物園では、春の気配を感じさせる花々が見頃を迎えています。

日中は暖かさも感じられる2月。少しずつ冬から春へと向かうこの時期は、バイカオウレンなど牧野富太郎博士と縁深い植物が見頃を迎え、多くの観光客が見入っていました。

今回も広報課の橋本渉さんが案内してくれました。まず向かったのは北園のさくら・つつじ園。

早くもさまざまなサクラが見頃を迎えています。

明るく濃い紅色の花をつけるのは、沖縄県などに自生する「カンヒザクラ」です。釣鐘状に花をつけていて、下から見上げると豪華に咲き誇る姿が目を引きます。

さらにすぐ隣にもこれからの時期見ごろを迎えるサクラが。県内では雪割り桜ともよばれる「ツバキカンザクラ」。愛媛県松山市にある伊豫豆比古命神社、(いよずひこのみことじんじゃ)通称:椿神社の境内にあったことからその名がついたといわれています。

早咲きのサクラとして知られるこちらのサクラは満開に。「カワヅザクラ」です。

サクラ以外にも、北園には早春を告げる花がありました。博士が学名をつけたという「アケボノアセビ」。「アケボノ」とあるように夜明けをイメージするような淡い花色が特徴的です。

続いて今の時期、園内のスターといっても過言ではないあの植物のもとへ向かいます。

早春の風が吹き始めると開花するともいわれる「ユキワリイチゲ」。日光が当たると花が開くため、よく晴れたこの日は多くの観光客が足を止め、その姿を写真に収めていました。

博士が描いたユキワリイチゲ。博士とユキワリイチゲの出会いは少年時代、佐川町の自宅近くの家の庭でした。その場所を53歳の時に再び訪れた牧野博士は、昔のままに残っていたユキワリイチゲを見つけ、大変うれしかったと記しています。(『土佐の博物』博物学会報第6号1938(昭和13)年1月刊行)

博士にとっても非常に思い出深い植物だったことが分かります。

最後に向かったのは、南園。節分の頃に咲くことから名付けられた「セツブンソウ」。こちらもユキワリイチゲ同様、今の時期多くのファンがいるといいます。

小さく可憐な花たちが春の訪れが近いことを教えてくれます。

日差しのぬくもりを感じる一方で、まだまだ寒さの残る今の季節。早咲きのサクラや優しい色合いの草花が彩る園内で春の気配を感じてみてはいかがでしょうか。

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