巻き爪やうおのめ… 足のトラブル放置しないで フットケアサロンをオープンした看護師が心配すること 沖縄

 コロナ禍で高齢者の歩行量や運動量が低下し、介護の必要性が懸念される中、足の健康法「フットケア」に注目が集まっている。足の爪や角質のトラブルを防ぎ、正常な歩行を促すことで転倒や寝たきりのリスクを減らす。高齢者の生活の質(QOL)の向上も期待でき、医療関係者の間では「足の健康を守ることが健康長寿につながる」との声が強い。(社会部・下里潤)

 看護師の新里ひとみさん(53)は昨年4月、那覇市樋川にナースのフットケアサロン「一歩」をオープンした。巻き爪や足裏のタコ、うおのめ、かかとのひび割れなどをケアし、医療者目線で足のトラブルを改善・予防している。

 開業のきっかけは、足のケアを放置したことで病気が進行するケースを何度も見てきたこと。糖尿病による足病変で細菌感染などを起こし、最悪の場合は足を切断せざるを得ないこともあった。

 理由の一つとして考えられるのは、日本人が靴を履く習慣になったのは明治以降で歴史が浅く、欧米と比べると足への関心が低いこと。特に沖縄は車社会で歩かない人が多く、足の不調に気付かない場合が多いという。湯船に入らずシャワーで済ませる人もおり、足を清潔に保てていないケースがある。

 新里さんは「県内には専門のフットケア外来を持つ病院は少ない。足に痛みや不調があっても我慢する人や、どこへ行けば良いか分からず『足難民』になる人を見て、何とか力になりたいと思った」と振り返る。

 開業後は口コミで広がり、1カ月先まで予約で埋まる時もある。サイズが合わない靴を履き続けたことで爪が変形した人や、爪が厚くなり足に痛みを抱えた高齢者など訪れる人の状況はさまざま。看護師や介護士が対処方法を求めて来る場合もあるという。

 「痛みをかばうことで膝や腰など別のトラブルを招く場合もある。足は第2の心臓とも言われる。健康寿命を伸ばすためにも、子どもの頃から関心を持つことが大切だ」と指摘する。

 特にコロナ禍で歩く習慣が減ったお年寄りは注意が必要だと強調する。「体が硬くなったり目が見えにくくなったりして、自分で爪が切れない人もいる。放置すれば巻き爪が進行して歩けなくなる可能性があり、外出機会がなくなれば社会から孤立してしまう。家族など身近な人は注意してほしい」と呼びかけた。

角質を削り、フットケアの重要性について説明する新里ひとみさん=13日、那覇市・ナースのフットケアサロン「一歩」

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