輪島塗、金沢で守る 被災漆器店がギャラリー 職人の住居、工房も

開店準備を進める大藤さん(右)ら=金沢市神谷内町

 能登半島地震で被災した輪島市惣領町の「大藤漆器店」が今春、復興への拠点として金沢市に輪島塗のギャラリーをオープンする。被害を免れた品を紹介するほか、住居と工房を失った蒔絵(まきえ)などの職人を住まわせて受注販売にも取り組み、地震で継承が危ぶまれる伝統工芸の灯をつなぐ。

 ギャラリーは神谷内町にある3階建てビルの1階に開く。上階の住居部分には輪島の職人が入居し、住まいや工房として使えるようにする。計10人程度が入居可能で、現在は3人が移ってくる予定。家賃は店側が負担するという。

 店によると、地震を機に輪島塗に注目が集まり、石川県内外の百貨店などからは注文が相次いでいる。ただ、被災した職人たちが輪島で製作を続けるのは難しく、金沢で生活の拠点を提供することで生産の継続を後押しする。

 ギャラリーは北陸新幹線敦賀延伸前日の3月15日にプレオープン、4月6日にグランドオープンを目指す。大藤漆器店社長の大藤孝一さん(67)は、インターネットでの販売も視野に入れているとし「今、職人さんを守らなければ、輪島塗は守れない。復興へのきっかけをつくり、輪島の意地を見せたい」と話した。

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