『後部座席でシートベルト』着用義務は高速道?一般道?しないとどうなる?警察とJAFに確認すると…

皆さん、乗用車の「後部座席」に乗車する際に、【画像①】のようにシートベルトを締めていますか?(お子さんに締めてもらっていますか?)

JAF(日本自動車連盟)は、「後部座席同乗者」の都道府県別シートベルト着用状況調査の結果を発表しました(調査は2023年10月~11月・全国885か所)。その結果。。。

「後部座席でシートベルト」着用率が“高い” “低い”都道府県はどこ?

一般道路での後部座席同乗者のシートベルト着用率」が高かったのは(全国平均43.7%)

1位 群馬県 62.7%
2位 山梨県 59.3%
3位 岩手県 56.4%

高速道路での後部座席同乗者のシートベルト着用率」が高かったのは(全国平均78.7%)

1位 岩手県 94.0%
2位 新潟県 91.8%
3位 島根県 91.7%

逆に、「一般道路での後部座席同乗者のシートベルト着用率」が低かったのは
47位 沖縄県 12.6%
46位 鹿児島県 30.2%
45位 愛媛県 32.8%

高速道路での後部座席同乗者のシートベルト着用率」が低かったのは
47位 沖縄県 52.8%
46位 東京都 65.9%
45位 長崎県 66.4%

となりました。

ちなみに、あなたの住んでいる都道府県は着用率何%か?は、【画像②~④】に掲載しています

結果、高速道では全国平均で「約2割」が後部座席でのシートベルト未着用一般道に至っては「6割近く」未着用、ということが分かりました。

後部座席でシートベルト着用は「高速道も一般道も義務?」

後部座席のシートベルト着用について、「義務」だということを教習所時代に習っていない、という世代の方もいるかも知れません。また「一般道は義務なの?」と迷う声もたまに聞きます。

いまいち曖昧な「後部座席の着用義務」について、ここではっきりと理解しておきましょう。岡山県警・交通部交通事故抑止対策官の神門敦さんに伺いました(【画像⑤】)。

ー改めてお伺いしますが、『後部座席のシートベルト着用は、義務』ですよね?

(岡山県警・交通部交通事故抑止対策官 神門敦さん)
「そう、義務ですね。2008年6月から、高速道路でも一般道でも義務化になっています」

ー義務化の目的はどういうところでしょうか?

「①同乗者の怪我の防止 ②車外放出を防ぐ、その辺りを防止するため、体を守るためにシートベルトをつけてもらうということです」

ー意外に『着用義務』を知らない方がいるようですが。

「2008年から始まったとはいえ、免許の更新時にしっかり講習を受けているはずなので、まず運転手さんで知らない人はいないと思います。ただ年少者では知らない子もいますし、それから知っていても、要は『自分が事故するわけがない』とか『自分は大丈夫だ』とか、そういう考え方があってシートベルトをしないであるとか」

後部座席のシートベルト「運転する人がきちんと着用呼びかけを」

「それから、乗るときには『シートベルトして』って運転者に言われてするけれども、途中で外しちゃったりする人もいるみたいで。例えば、高速道路で切符を切られた人などは、『後ろの席の人が、知らない間に外していた』と言うケースもあるんですよ」

「どっちかというと、『知らない』というよりは、自動車を運転する方がお願いしなきゃ駄目なんですよね、免許を持っている人が言わなければ分からない人もいると思うので」

「もし義務化を知らない人がいるのであれば、運転開始する前に、『全席シートベルトを締めてください』というお願いをしていただきたい、というのがやっぱりありますね」

罰則はどうなる?

ーちなみに罰則はどうなっていますか?

「高速道路に限っては 1点の反則点数がつきます。一般道では罰則はないです」

ー警察では着用しているか、チェックや取り締まりなどを行っているのですか?

「一般道では取り締まりはしていません。ただ高速道路では取り締まりはずっと続けてやっています。後部座席を全てチェックして、ずっと続けてやっています」

ーただ、罰則のあるなしにかかわらず、着用は守ってほしいですよね

「やっぱりシートベルトで命を守るので、重傷が軽傷で終わったり、シートベルトのおかげで防げるので、しっかりと認識している運転手さんを中心に『シートベルトはしてくださいね』ってお願いをしてほしいです」

「事故をしてやろうと思って事故を起こす人はいないので、事故が起こったときの被害防止、『命を守る』ということは極めて重要なことだと思うので、やっぱりシートベルトはしっかり、一般道でも高速道路でも全席シートベルト着用をお願いしたいと思います」

「昨年も一般道であったんですけども、自損事故を起こして運転手の方は軽傷でしたが、後部座席の人が車外に放り出されて亡くなったような事案もあります。そういうことが毎年何件かあるので、高速道路でも一般道でも、シートベルトをしっかり締めておくというのが重要かなと」

そう、後部座席でシートベルトをするとしないとでは、命に大きくかかわってくるのです。それがよく分かる実験を、JAF(日本自動車連盟)が行っています。

「後部座席でシートベルト」しないと事故発生時どうなる?

どれだけ後部座席でシートベルトをしないと危険なのか。JAF(日本自動車連盟)さんに画像を提供して頂きました。そのタイトルは「後席シートベルト非着用時の危険性【JAFユーザーテスト】」です。

【画像⑦】のように、シートベルトをしているのが青色の服の人形、シートベルトをしていないのが赤色の服の人形です。

乗用車が、【画像⑧】のように時速55キロで前方の壁に衝突します。

そして衝突の瞬間…シートベルトをしていない赤色の人形は、【画像⑨~⑩】のように前方に投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付け、さらにシートごと運転席の人形を押しつぶしてしまいました。

一方で、シートベルトをしていた青色の人形は【画像⑪】のように投げ出されることなく、シートベルトで上体がしっかりと固定されていました。

なおHIC(頭部傷害基準値)は【画像⑫】のように、運転席の人形が1171と「頭部に重大な損傷が発生する可能性あり」の数値(1000)を超え、シートベルトなしの後部座席で2192と「死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負う危険性が高くなる」数値(2000)を超えました。

事故に遭ってからでは遅い!きょうからでも後部座席でシートベルトを

JAFでは、後部座席でシートベルトを着用していなかった場合、

①車内の構造物(柱や座席など)に激突し、傷害を負う
②運転者や助手席の同乗者とぶつかり、危害を加える
③窓から車外に放り出される

といったリスクが非常に高いといいます。

JAF岡山支部では、「後部座席シートベルト着用が、いまだに定着していない。自分と同乗者の命を守ることの重要性を子どもに示すためにも、大人が率先して必ず、全ての座席でのシートベルト着用をしてほしい」と呼び掛けています。

そう、事故に遭ってからシートベルトを着用しても、手遅れなのです。きょうからできる簡単なこと、ぜひ皆さんも命を守るために実践してください。

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