家事手伝い、主婦も…ひそかに増加するひきこもり女性、「オンライン居場所」で悩み相談や交流の場を 兵庫県が開設へ

兵庫県明石市のNPO法人などによる、ひきこもり支援の交流会の様子。オンラインでのひきこもり支援は各地で注目されている

 兵庫県は2024年度、ひきこもりに悩む女性を支援するため、インターネット上に交流の場を開設する。専門スタッフに悩みを相談したり、当事者同士で交流したりする「オンライン居場所」を無料提供し、社会復帰を支援。運営はNPO法人などに委託する方針で、22日から運営団体の募集を始めた。女性のひきこもりは表面化しづらく、これまで見過ごされてきた側面があり、県内の自治体が女性に対象を絞ったひきこもり支援に乗り出すのは初めてという。(津谷治英)

■19年は30%、23年は45%と大幅増

 ひきこもりケアに関しては各地で当事者の集いなどもあるが、対面の交流には抵抗がある人も多い。このため県は20年から、ひきこもり当事者と社会をつなぐオンラインの「電子居場所」を導入。姫路、丹波市などのNPO法人や企業計9団体に運営を委託している。匿名性が保たれる電子居場所は好評で、22年度は延べ888人が利用した。

 内閣府が23年に公表した調査結果で、ひきこもり状態にある人は推定約146万人に上り、19年から約31万人増加。女性の割合は19年の30.2%から、23年は45.1%と大幅に増えた。

 女性のひきこもり支援を続ける「ひきこもりUX会議」(東京)の林恭子代表理事によると、国の調査はかつて、「家事手伝い」「主婦」をひきこもりから除外していたという。女性の急増は、こうした過去の調査で隠れていた実態が顕在化したのが一因とされる。

 県福祉部は当事者やNPO法人などへのヒアリングを基に「女性に限定することで、より参加しやすくなる人がいる」と判断した。

 ひきこもりUX会議の林さんは「近年は、ひきこもり当事者や心理ケアの専門家らが、女性対象の自助グループを立ち上げる動きもある。男性が多い場で話すのが苦手な女性は多い」と指摘。「1人で悩みを抱え込む女性の存在に、ようやく社会が関心を持ってくれるようになってきた」と兵庫県の対応に期待する。

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