災害時、ペットと避難…どうする? 自治体の運営マニュアルを調べてみた

高砂市のハザードマップには災害時にペットと避難する際の注意点を記している

 能登半島地震では、飼い犬などを避難所に連れて行けず、自宅にとどまったり、車中泊したりするなど災害時の「ペット避難」が課題として浮き彫りになった。兵庫県内でペットと一緒に避難できる施設をホームページなどで公表しているのは一部の自治体にとどまる。災害時のペット対応について東播2市2町の避難所運営マニュアルを調べた。(増井哲夫)

■居住スペースへの連れ込み不可

 避難所運営マニュアルについては加古川市と稲美、播磨町がインターネット上で公開している。

 加古川市はペットと一緒に避難できる施設をネット(防災ポータル)で公表。「地図で調べる」から避難所をクリックすると、備考欄にペット同行が可能かどうかを「○」「×」で表示している。

 ただ、避難所運営マニュアルでは「動物アレルギーの避難者がいる可能性を考慮し、居住領域へのペット連れ込みは禁止」「事前に定めた専用スペース(屋外で屋根ありが望ましい)で飼育」とする。市防災対策課によると、飼育スペースの設置については「避難所により状況が異なり、それぞれの事情に応じて協議が必要」という。

 高砂市は「ペットは家族の一員であり、心のよりどころ」とする一方、「鳴き声、アレルギー等、避難者への影響を十分配慮する必要がある」と指摘。飼い主による適切な管理▽居住スペースへの連れ込み禁止▽飼育者名簿の作成-などを示す。また、飼育スペースの設置例もイラスト入りで紹介している。

 同市はハザードマップに、日ごろから備えておくべきことや同行避難の準備について記し、公表している。

 稲美、播磨町もペットの飼育スペースは屋外を想定。稲美町は「居住スペースからある程度離れた、風雨をしのげる場所」とする。播磨町は避難所でのルールとして「指定場所にケージなどに入れて管理するのが原則」と例示するほか、飼い主に向けた広報文案も示している。

 いずれの市町もペットの飼育や管理については「飼い主が責任を持って行う」。また、介助犬は別途の対応としている。

■飼い主の準備

 災害時のペットの避難に対し、飼い主はどのような準備をすればよいのだろうか。「バークレー動物医療センター」(加古川市加古川町備後)に聞いた。

 まずペットの行方が分からなくなった場合の備えだ。動物愛護管理法改正で2022年6月から、ブリーダーやペットショップで販売される犬や猫にマイクロチップ装着が義務化。飼い主や連絡先などの情報が登録されるため「義務化前に飼い始めた人も導入してほしい」という。交流サイト(SNS)での情報共有も進んでおり、首輪の迷子札の活用も広がっている。

 飼い主が心配するのが、鳴き声などに伴うトラブル。「居住スペースは困難でも、できるだけ早い段階でペットが落ち着ける環境を避難所に設けてもらえたら、他の避難者との関係悪化も防げる」とする。

 優先度が高い持ち出し品は、ケージ▽薬▽フードや水(1週間分以上)▽予備の首輪とリード▽食器▽ガムテープ(ケージ補修などに使う)▽緊急連絡先情報▽ペットの画像(スマホに保存)-などがある。「発災後にできることは限られるので日ごろの準備を」と呼びかける。

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