そもそもどうなの、ランドセルに校則 学校の「当たり前」を疑ってみたら【2月17日~23日 タイムス+プラスから】

 個人的な話で恐縮ですが、3年ほど前、2年半迷った末に革製のリュックを買いました。周囲もあきれる優柔不断に拍車をかけたのが、約5万円という値段の高さ。自分への誕生日プレゼントと言い聞かせ、ネットで入手したのですが、届いてみて想定以上に感じたのが重さです。仕事柄、パソコンやカメラ、本、資料など荷物が多いため肩の疲労感が半端なく、普段使いは3日で諦めました。 

記者私物の革製リュック。思い切って購入してから3年が過ぎ、深緑から濃い茶色へ経年変化。大切に使っているが、やはり長時間背負うと重い

 そう、一般的に革製品は高価で重い、のです。ランドセルもそうでしょう。

 今週は、そんな小学生の象徴ともいえるランドセルのニュースから。沖縄市立山内小学校が、ランドセル以外の通学かばんを全校児童に認める通知を出し、那覇市教育委員会も市内36校に対して同じように周知する方針を示しました。ランドセルになじみの薄い外国ルーツの子どもや、物価高の中で家庭の経済的負担などを考えた対応です。

大切なのは「考え、選ぶ自由」

 確かにランドセルには、重量や価格面での課題のほか、みなが同じ物を持つ「同調圧力」の温床だという指摘があります。一方で、耐久性や防水性などのメリットがあり、近年は軽量化が進んで、色も多様になっています。

 布やナイロン製のかばんとの二項対立で考えるのではなく、子どもの好みや家庭の事情に応じて選択でき、その選択を尊重し合えることが肝心。子どもたちの体への負荷を減らすならば、教科書やタブレットなどの荷物を学校に置いていく「置き勉」も、もっと広がっていってほしいですね。

 さて、学校生活の「当たり前」を問い直す動きは、ランドセルだけではありませんでした。

 沖縄県立球陽高校で、制服の着用規定や染髪・アクセサリーの禁止などといった身なりに関する校則を1カ月間「廃止」する取り組み。早速、私服やメークで個性を表現した生徒たちの登校風景が、ウェブや紙面を飾りました。

 記事に目を通した瞬間、思わず「おお」と声を上げました。校則について研究している2年生チームの問題提起や提案力に感嘆。さらに「まずはやってみたら」と受け止め、見守る先生たちの姿勢が学校教育の未来を照らしているように感じました。

 本紙の1面コラム「大弦小弦」で鈴木実・社会部デスクはつづります。 〈校則を変えるか、変えないか。さまざまな意見があっていい。大切なのは、生徒自らが考えること。それができた時点で、もう成功は手の中にある〉

「宿泊税」は沖縄観光の転換点

 先週から今週にかけては、政経部経済班の川野百合子記者による5回連載「『宿泊税』を考える」も好評でした。沖縄県が2026年度の導入を目指す観光目的税、いわゆる宿泊税について意義や課題を掘り下げています。

 目的、税率、課税免除対象、使い道など多くの論点があり、観光業界と県の主張の隔たりを分かりやすく解説しています。専門家らが本紙記事にコメントする「エキスパートEye」でも、さまざまなコメントが付いており、議論の現在地を確認できます。沖縄ツーリズム産業団体協議会の下地芳郎会長が「沖縄観光を発展させる上で非常に重要な転換期」と話す宿泊税を巡る動きを、ぜひチェックしてみてください。

小禄に広がった「太郎ショック」

 最後は、那覇市・小禄地域の人々を中心に衝撃と悲しみが広がった美容室「パーマ太郎」が2月末で閉店するとの話題です。私自身も、高校時代までお世話になった一人。今回の取材を通して、店長である「太郎さん」の本名や歩みを初めて知ることができ、とても感慨深かったです。

鏡越しにカットの仕上がりを客に確認してもらう太郎さん=2月21日、那覇市田原「パーマ太郎」

 今後も何らかの社会貢献を考えているという、太郎さんこと川満暁(さとる)さん。まずはゆっくり体を癒やしてくださいね。40年間、本当にお疲れさまでした。

 早いものでもうすぐ2月が終わり、年度末へまっしぐら。挑戦したいこと、やり残したことに一つでも多く取り組みたいですね。それでは今週の「デジ編チョイス」はこの辺で。新垣綾子が担当しました。

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