顔のたるみ対策に、ハイフ、糸リフト、フェイスリフト。大事なのは、どの方法が自分に合うかということ

加齢に伴って目立ってきた、顔のたるみ。気になりますよね。今回は、たるみ対策として、自費診療の美容医療でおこなわれる主な施術「ハイフ」「糸リフト」「フェイスリフト」について解説しましょう。どうたいクリニック美容皮膚科院長の岡部圭介医師と、設楽敦子看護師に、お話を伺いました。

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加齢に伴って誰にでも現れるたるみ対策に、自費診療の美容医療ができること

筋力は加齢とともに低下していくもの。顔の筋肉(表情筋)も例外ではなく、30代よりも40代、40代よりも50代と年齢を重ねて筋力が低下するにつれ、顔のたるみが気になってきます。加齢に伴って、たるみが目立ってくる原因は主に次の3つです。

1 表情筋の働きが低下して、顔の脂肪などを支えきれなくなる
2 顔の脂肪が増える
3 真皮や皮下組織の構造が変化して、皮膚や脂肪を支えきれなくなる

こうしたたるみを予防するため、表情筋を鍛える体操をする、コラーゲン繊維やエラスチン繊維の修復を助けるようなケアを行うとよいでしょう。ただ、いったんできてしまったたるみをスキンケアやマッサージで改善するのは、なかなか難しいもの。

一時的に「頬の位置が上がった」「フェイスラインがすっきりした」と感じても、その効果は長続きしませんし、加齢の影響を止めることはできません。

エイジングの影響を止めることができないのは、自費診療の美容医療も同じです。しかし、いったん下がってしまった頬の位置を上げる、もたついたフェイスラインをキュッと整えるなどの治療で見た目年齢を若返らせる、加齢の影響を遅らせることはできます。

一度の施術で効果を実感できる人も少なくありませんが、「一度施術を受けたら、その後、ずっと顔がたるまない」わけではありません。たとえば50歳のときのたるみが美容医療の力で45歳頃のたるみ程度に戻ったとしても、そこからまた徐々にエイジングの影響を受けるからです。

とはいえ、たるみを改善して少しでも若返ることができたら、うれしいですよね。たるみ改善の治療は、シミ治療などと比較すると費用も高くなります。治療を受ける前に経験豊富な医師にその施術が適応であるかどうか、正しく診断を受けることが重要です。

【たるみ改善の主な3つの施術】

ハイフ

どんな治療?

皮膚の内側に熱エネルギーを加えて、引き締める施術で、その効果は半年~1年ぐらい持続すると言われています(効果の現れ方、感じ方には個人差があります)。

専用のジェルを顔にぬり、ハイフ機器(*)で熱エネルギーを照射します。痛みが少なく、短時間でたるみを改善できる治療法です。
施術部位に金属が埋め込まれている、ペースメーカーなど埋め込み型の医療機器を使用している、妊娠中の人は受けられません。

*ウルセラ、ウルトラセルQ、ウルトラセルQ+リニア、ソノクイーン、タブロゴールドなど、ハイフ機器はメーカーによって、名称や性能が異なります。

こんな人に向いている

□頬などのたるみ、フェイスラインのもたつきを改善したい
□ダウンタイムがとれない
□皮膚が薄く、頬の脂肪がやわらかくて、たるんでいる人

痛みや副作用は?

・原則麻酔なしで行うため、施術中、骨に近い部分に響くような痛みを感じることがあります
・まれに熱傷、神経麻痺、色素沈着、一過性の毛包炎など

糸リフト

どんな治療?

時間の経過とともに溶けて体内に吸収される糸(溶けない糸もあります)を皮膚の下に入れて皮下脂肪を引っ張り上げ、たるみを改善する治療です。また糸が体に吸収されるときに、皮膚や皮下組織のコラーゲン再生が促されるので、ハリ感アップ、肌質改善などの美肌効果も期待できます。

その人の骨格、皮膚の厚み、脂肪のつき方、たるみの程度などによって、使う糸の種類、最適な糸の入れ方は異なります。糸をどこから、どのような方向で入れるかなど、医師がシミュレーションをして、最適な糸の種類(*)や本数を決めます。
施術中は麻酔を使うので痛みは感じませんが、糸が皮膚の中を通る感覚はあります。

*素材、太さ、長さ、コブや突起のある・なしといった形状など、糸の種類は豊富で、糸の種類によって目的や効果の持続期間が異なります。

こんな人に向いている

□皮膚に厚みがあって、ボリュームがある人
□首など部分的なたるみが気になる人
□手術をせずに、たるみを改善したい人

痛みや副作用は?

・痛み、むくみ、腫れ、内出血、違和感、つっぱり感など
・皮膚が薄い人は糸を入れたラインが浮き出る、顔の肉や脂肪がやわらかい人は糸リフトでは持ち上がりにくくいので、期待通りにリフトアップしないことがあります

フェイスリフト

加齢に伴って生まれるたるみ、シワを改善するために、皮膚を切開して筋膜(表在性筋膜=SMAS)を引き上げ、余った皮膚を切除するのがフェイスリフト術です。

こんな人に向いている

□よりしっかりとしたリフトアップ効果を希望する
□糸リフトなど、他の施術ではたるみを改善できなかった
□首やあごの下のたるみ改善 など

どんな治療?

皮膚を切開し、引き上げる部分の皮膚を剥離して、その下にある表在性筋膜を引き上げる処理をします。その後、余った皮膚を切除して、ひきつれなどが残らないように縫合します。

局所麻酔で行われることが多い手術ですが、筋膜の下まで剥離する場合など、全身麻酔で行うこともあります。

痛みや副作用は?

・術後の痛み、むくみ、血腫、腫れなど
・ダウンタイムが長い(傷が落ち着き、目立たなくなるまで、半年~1年ぐらいかかる)

たるみ改善治療は、自由診療の美容医療の中でも、シミ、シワ治療などと比較すると金額が高い、効果の感じ方に差があることの多い治療です。各治療のメリット・デメリットについて正しく理解・納得した上で、治療を受けるようにしましょう。


監修者
どうたいクリニック美容皮膚科院長・慶應義塾大学形成外科専任講師 岡部圭介

静岡県浜松市出身。2004年 慶應義塾大学医学部卒業。2014年 同大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。同大学形成外科助教を経て、2016年から慶應義塾大学形成外科専任講師。専門は先天性顎顔面疾患の手術治療、きずの治療など。
【所属学会】日本形成外科学会(専門医・指導医)、日本創傷治癒学会(評議員)、日本創傷外科学会(専門医)、瘢痕・ケロイド治療研究会(理事)、日本再生医療学会、日本褥瘡学会、血管生物医学会

監修者
どうたいクリニック美容皮膚科看護師長 設楽敦子

北里大学看護学部卒。北里大学病院中央手術室に11年間勤務。出産・子育てを経て、どうたいクリニック入職。韓国の美容医療事情にも精通している。

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