避難者が避難者の相談窓口 珠洲の小家さん、南加賀回る

避難者からの相談に応じる小家さん(奥)=加賀市内のホテル

  ●ボランティア団体結成 同じ境遇で寄り添う

 能登半島地震で被災し、小松市粟津温泉に2次避難する珠洲市若山町北山の整体師小家伸吾さん(40)は24日までに、避難者の相談に乗るボランティア団体「ひなさぽ」を結成した。南加賀の宿泊施設を回り、被災者の「次の住まい」など幅広い要望に耳を傾ける。ニーズに応じて専門家に迅速につなぐ役割を果たしており、同じ境遇だからこそ必要性を感じる被災者目線の対応を心掛けている。

 「ひなさぽ」には2次避難者を含む15人ほどがボランティアとして参加している。主に小松、加賀市の旅館やホテルのロビーで被災者向けの相談会を開き、支援制度の紹介や問い合わせの手伝いをしている。

 小家さんによると、避難者の中には賃貸住宅を借りた経験がない人もおり、各種手続きが進まないケースがある。時間が限られた県の個別相談会では疑問点を十分に解消できない被災者が目立ち、「ひなさぽ」では避難者とじっくり話し合い、悩みに応じた専門家や担当窓口につなぐ役割を果たしている。

 珠洲市の60代女性は自宅が倒壊し、隣家の車庫にも被害が出たことを相談。小家さんが保険会社などに電話して問い合わせると、賠償の可能性は小さいことが分かった。女性は「1人ではどうすればいいか分からず、相談できて気持ちが楽になった」と感謝した。

 小家さんは発災直後の避難所で、高齢者らに行政の情報を伝えるボランティアをしていた。ただ、運営スタッフからの連絡が十分に行き届かない状況を経験し、もどかしい思いがあった。父と一緒に移った粟津温泉のホテルでも、同様に情報が足りず不安を感じる避難者の姿を目にし、避難者目線で、気軽に相談できる窓口を開くことにした。

 小家さんは3月11日に兄が住む京都に移る予定だが、「ひなさぽ」の活動は有志らが当面続ける。小家さんは「被災者にとって2次避難所にいる今は、次の生活を考える大事な時期。自分の体験も踏まえて、寄り添う活動を続けたい」と話した。

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