災害ごみ海路で28万トン 飯田、宇出津新港から県外輸送

  ●120万トンは再生、復興資材に

 能登半島地震の災害ごみ推計244万トンのうち、28万トンを飯田港(珠洲市)と宇出津新港(能登町)から県外に海上輸送する計画を石川県がまとめたことが24日、分かった。被害の大きかった地域は半島最奥部に位置するため「陸路」では輸送経路が限定され、運搬を担う道路も深刻な被害を受けた。そんな中、「海路」も活用し、できるだけ迅速な処理を目指す。2年間で完了したい考えだ。

 今回生じた244万トンの災害ごみは、県内の年間ごみ排出量の約7年分に当たる。地震で能登半島各地の道路がダメージを受ける中、これを全て「陸路」で運ぶには限界があるし、全てを廃棄物として処分するのも難しい。

 そこで244万トンのうち、120万トンは地元でリサイクルする。金属くず2万トンを製鋼原料、コンクリートがら118万トンを建設資材に再生し、廃棄物の処分量をできるだけ減らすとともに、能登の復興に役立てる。

 残り124万トンのうち38万トンは県外で処理し、このうち28万トンを飯田港、宇出津新港から「海路」で富山、新潟に運ぶ。今回の地震は海底地形の変化もあり、海上輸送は困難との見方もあったが、運搬船が入港できる水深が確保されていると調査で判明し、比較的軽い木くず中心に運ぶことにした。

 能登半島は「陸路の発想」で見れば、どこからも遠く離れている。だが「海路の発想」では三方を海に囲まれていることは利点だ。海上輸送は、かつて北前船の寄港地として栄えた能登の「地の利」を生かした作戦と言える。北東に向かって延びる能登半島から新潟は海路で行きやすく、穏やかな内海の富山湾も船運に適している。

 県外処理のうち10万トンは「陸路」で富山と福井に運ぶが、ここにも工夫がある。荷台が二つ連なる「連結トレーラー」を活用するのだ。一般的なごみ収集車の積載能力は2~4トンなのに対し、連結トレーラーは16トン積める。

  ●陸路は「1台でより多く」

 道路とは、そもそも1車線を通れる車の数が1時間あたり約600台など「容量」に限りがある。能登半島は地形の制約で道路の数が限られる上、今回の震災で交通事情が悪化した。その苦境を打開するには、連結トレーラーのような「1台でより多く運べる輸送手段」が力を発揮する。

 現在、能登半島は確かに交通が不便だ。しかし、工夫次第で、復興スピードを速める余地は、まだまだあるのではないか。(能登半島地震取材班)

© 株式会社北國新聞社