【タイム】の栽培方法と活用アイデア3選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第25回は【タイム】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。

健康に役立つ【タイム】

葉も花も小さく、愛らしい姿ですが、健康に役立つハーブとして昔から知られています。料理やティーにどんどん使って、そのパワフルさを感じてみませんか。

別名/タチジャコウソウ(和名)
科名/シソ科
性質/常緑小低木
樹高/20~40cm

刺激的で温かみもある独特の香り

タイムは、地中海沿岸の乾燥地に分布するハーブで、茎や葉にチモールと呼ばれる成分を含み、強い芳香があります。

「強く刺激的で、それでいて温かみも感じる独特な香りがタイムの一番の特徴です。オイルやビネガーなどの風味づけに幅広く利用され、特にブーケガルニの材料や、肉料理の香りづけには欠かせません」と桐原春子さん。日々の料理にひんぱんに利用していると言います。

「防腐・殺菌作用があることでも知られ、フランスの薬草治療家モーリス・メッセゲ氏の言葉を借りると、タイムには『強力無比な殺菌力』があり、『胃など消化器の最良の友』なのだそう。また、タイムには鎮静作用があり、呼吸器にもよいと述べています」

桐原さんもタイムの殺菌効果を意識して、生活にいろいろと生かしているそう。

「タイムをたっぷり使ったリースや今回ご紹介しているタイム人形を作って飾ったり。ドライタイムをお皿に盛って室内に置いておくだけでもよいのです。タイムはときどき砕いて、香りを立ちのぼらせて。料理では、肉以外にも魚料理やスープ、食後のティーなどにもタイムひと枝をプラスしています」

性質は丈夫で、地植えでも鉢植えでもよく育つ

タイムにはコモンタイムの他、レモンの香りがするレモンタイム、葉に白い斑が入るシルバータイム、枝が地面を這うクリーピングタイムなど、多くの種類があります。

「小さな葉と花もかわいらしく、ブーケの材料にもぴったりです」

性質は丈夫で、日当たりがよければ地植えでも、鉢植えでもよく育ちます。

「地植えの場合は水はけと風通しのよい場所に植えます。高温多湿が苦手なので、夏に収穫を兼ねて軽く刈り込むとよいでしょう。挿し木や株分けで簡単に増やせます」

代表種のコモンタイム

いろいろな種類がある中で、一番料理に使われるのはコモンタイム。初夏には淡いピンクの小花を咲かせます。

料理に活躍するので、3.5号ポット苗を4株ほど鉢に入れ、土の表面を水ごけでカバーし、キッチンの窓辺に置いてみました。日光が大好きなので、1週間ほど経ったら戸外に出します。

活用アイデア① タイムビネガー&海鮮サラダ

タイムは、ビネガーやオイルに風味をつけるのにも最適。タイムの香りを移したビネガーでマリネ液を作り、シーフードを漬け込んだら、香りと味がしみ込んで、ワンランク上のごちそうサラダになりました。

サラダの作り方(2〜3人分)

❶シーフードミックス(冷凍)や帆立貝柱など合わせて約200gをさっとゆでる。ゆで汁はとっておく。

❷ボウルに、タイムビネガー大さじ2、にんにくのすりおろし1/2かけ分、オリーブオイル大さじ8、フレンチマスタード(ディジョンマスタード)大さじ1、アンチョビーペースト小さじ2、こしょう少々、①のゆで汁200㎖を入れて混ぜ、マリネ液を作る。

❸②に①のシーフードを加え、冷蔵庫に入れて30分以上漬ける(一晩ほど漬け込んでも美味)。

❹器に好みの野菜(ブロッコリースプラウト、ゆでたグリーンアスパラガス、ラディッシュなど)適量を彩りよく盛り、真ん中に③のシーフードをのせる。タイムの小枝(フレッシュ)、くし形に切ったレモンを適宜添える。サラダ全体に残った③の液をかけたり、塩、こしょうを振ったり、お好みで。

タイムビネガーの作り方(作りやすい分量)

❶米酢など好みの酢150㎖を清潔な瓶などに入れ、10㎝長さのタイムの枝(フレッシュまたはドライ)5本と赤唐辛子1本を入れる。

❷5日ほど経って酢にタイムの香りがついたら、料理などに使う。ハーブ類は入れたままでOK。

活用アイデア② タイム人形

タイムはクラフトにも使いやすいハーブ。ドライタイムを詰めた小さな香りの人形を作りましょう。

ドライタイムを敷いたお皿にのせれば、香りが漂って気分はさわやか。ちょっとしたプレゼントにもいいですね。

作り方

❶化繊綿を直径1.3㎝ほどの大きさに丸め、10×5㎝のストッキングで包み、糸でしっかり結んで顔の形を作る。髪用の10㎝長さの毛糸8本を頭の部分に接着剤で貼りつける。

❷襟用の布5×7㎝の短い辺を半分に折り、①の根元にかぶせて、下側を縫い留める。

❸体用の布10×10㎝の、内側8㎜のところを粗く縫い、糸はつけたままでタイム(ドライ)大さじ4~5を置く。②を中心に置いて糸を引いてすぼめ、しっかりと結ぶ。さらに頭部と体部を糸で縫って固定する。

❹15㎝×0.3㎝のリボンを結び、に接着剤で貼りつけ、タイムの小枝(フレッシュ)1本を差し込む。

活用アイデア③ タイムハニー

多くの健康効果が知られるはちみつにタイムを漬け込んだタイムハニー。好みのお茶にタイムハニーを加え、タイムの枝を浮かべれば、はちみつからもタイムからも力をもらえそう。トーストやパンケーキに添えても美味!

タイムハニーの作り方(作りやすい分量)

❶はちみつ100㎖に10㎝長さのタイム(ドライ)の枝を2本入れる。

❷2週間ほど経ってはちみつにタイムの香りがついたら、タイムを取り出す。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2020年5月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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