ゴマフアザラシの「マルコ」安らかに 鶴岡・加茂水族館に献花台

ゴマフアザラシ「マルコ」の訃報に驚く来館者=鶴岡市立加茂水族館

 「ゆっくり休んでね」「ありがとう」―。鶴岡市立加茂水族館(奥泉和也館長)で飼育され、32歳で天に召された雌のゴマフアザラシ「マルコ」を悼み、館内に24日、献花台が設置された。生まれも育ちも加茂水族館で、16頭の子を産んだ「肝っ玉母さん」として愛されてきた。最近は表舞台からは遠ざかり、同館で余生を過ごしていた。突然の悲報に来館者は驚き、別れを惜しんでいた。

 マルコは1991年3月10日生まれ。アニメ「ちびまるこちゃん」にあやかり、多くの人に親しまれるよう命名された。生涯16頭を産み、マルコ以外の飼育している9頭のうち2頭も自身の子で、同館のゴマフアザラシの中では最高齢だった。ほかの子たちは新潟市のマリンピア日本海、東京都港区のマクセルアクアパーク品川などで人気者となっている。

 2019年に16頭目の子を出産後、白内障などを患い、治療のため同年10月からはバックヤードで穏やかに過ごしていた。晩年も元気に泳ぐ姿を見せ、最近まで、水槽で泳いだり、餌も積極的に食べたりしていたが、死ぬ数日前から動きが鈍くなりだしたという。飼育員が頻繁に観察し、見守っていたが、23日午前8時46分、飼育員が出勤したところ、水槽に浮いている状態で息を引き取っているのが見つかった。死因は胸の中にできた腫瘍だった。寿命は30歳程度とされ、飼育下では40代まで生きることもあるという。

 献花台は海獣コーナーに設けられた。マルコの死を知らずに来館した人たちは、足を止め、手を合わせた。鶴岡市の40代女性は「毎年のように子どもを産む姿に元気をもらっていた。ゆっくり休んでほしい」と話した。担当の飼育員伊藤愛さん(32)はマルコと同い年。「おばあちゃんになり、目がほとんど見えていないはずなのに、子どもに優しく母乳を与える姿に感銘を受けた。元気を与えてくれる存在だった」と話した。

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