VARの末にゴール取り消し。それでも湘南MF鈴木淳之介は前を向く「仕方ないこと。自分の良さは見せられた」

[J1第1節]湘南ベルマーレ 1-2 川崎フロンターレ/2月24日/レモンガススタジアム平塚

「昨季の開幕戦に比べれば、良い出来だったのかなと」

5-1で快勝を収めた2023年の開幕戦・サガン鳥栖戦でのJ1デビューは、試合のスコアと裏腹に悔いの残る出来だった。「悔しすぎて、記憶から消している」という1年前の無念を晴らすべく照準を合わせて臨んだ今節は、チームを勝利に導くには至らなかったが、堂々たる戦いぶりだったと言えるだろう。

湘南ベルマーレは2月24日、J1第1節で川崎フロンターレとホームで対戦し、1-2で敗れた。

結果は残せなかったチームのなかで、途中出場で際立つプレーを見せた選手がいた。高卒3年目のMF鈴木淳之介だ。

65分からピッチに立つと、ボランチで持ち味を発揮。類稀なキープ力で時間を作れば、推進力のあるドリブルで敵陣に侵入。VARが介入してゴールは取り消されたが、70分にはボックスの外から放ったシュートが阿部浩之に当たってネットを揺らした。

以前から自身の課題だと口にしていた守備面も、着実な成長を感じさせた。ボランチでコンビを組んだ田中聡とともにスペースをケアするだけでなく、積極的に前に出てボール奪取を試みるシーンも。180センチを超える体格を活かしたタックルや、長い脚を利した戦い方を覚えれば、よりダイナミックな選手になれる可能性も秘めている。

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鈴木淳は一定の存在感を示した川崎戦を次のように振り返る。

「監督に『とにかくボールに触って攻撃に関われ』と言われて入りました。勝利に貢献できず悔しいですが、去年と比べれば自信を持ってやれているので、続けていきたいです」

また、ゴールが取り消された場面については、「仕方ないことなので」と回想。あと一歩でプロ初得点というシーンだったが、鈴木淳は冷静にこう続ける。

「VARになったシーンを含め、(田中)聡が後ろに重心を置いてくれたことで、自分が前に出る回数を増やせた。ダブルボランチはアンカーやサイドボランチ(インサイドハーフ)よりも自由度が高いので、やりやすかったです。自分の良さも出せたのかなと」

ピッチ内外ともにクールな振る舞いが印象的な20歳は、順調な滑り出しに成功したと言える。勢いそのままに、チームの中軸を担う存在へと成長を遂げるか。飛躍を期す背番号30から目が離せない。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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