「僕を特別扱いせず叱ってくれる」ニックスの新星ブランソンが“子ども時代からの恩師”シボドーHCとの関係性を語る<DUNKSHOOT>

現地時間2月22日(日本時間23日、日付は以下同)、ニューヨーク・ニックスは敵地ウェルズファーゴ・センターでフィラデルフィア・セブンティシクサーズを110-96で下し、連敗を4でストップさせた。

オールスターブレイク明け初戦を制したニックスは、ジュリアス・ランドル(右肩)、OG・アヌノビー(ヒジ)、ミッチェル・ロビンソン(足首)というフロントコートの主力を欠く苦しいロスターながら、ベントスタートのボーヤン・ボグダノビッチが6本の3ポイントをノーミスで沈めて計22得点に3スティールをマーク。さらにジョシュ・ハートが18得点、12リバウンド、プレシャス・アチウワが18得点、11リバウンド、ドンテ・ディヴィンチェンゾが16得点、2スティール、2ブロックと続いた。

この日シクサーズは、ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ育ち、ビラノバ大時代まで同州で過ごしてきたカイル・ラウリーが新天地デビュー。11得点、4リバウンド、5アシストを記録するも、ニックスにはラウリー以上にフィリーで快適にプレーする男がいた。
ビラノバ大で3年間プレーし、2度のNCAAトーナメント制覇を果たしたジェイレン・ブランソンは、21得点、12アシストのダブルダブルでニックスの勝利に貢献。「カレッジの時にプレーしていたから、ここでプレーできるのは間違いなく楽しいものなんだ。すごく楽しめた」とフィリーを満喫していた。

キャリア6年目、ニックス在籍2年目の今季、ブランソンは53試合の出場で平均27.5点、3.8リバウンド、6.6アシストに3ポイント成功率40.6%(平均2.6本成功)と自己最高のシーズンを送っており、自身初のオールスター入りも飾っている。

ランドル、アヌノビーを欠くなか、27歳のスコアリングガードが見事にニックスを牽引。名実ともにチームの主軸となって申し分ない働きを続けている。

ニックスの指揮官として4シーズン目を迎えたトム・シボドーHC(ヘッドコーチ)は、ブランソンにとって長年良好な関係を続けてきた人物ということも、活躍できている要因のひとつと言えるだろう。
ブランソンの父リックはNBAに9シーズン在籍したポイントガードで、ニックスに所属していた約3シーズンは当時AC(アシスタントコーチ)だったシボドーの下でプレー。引退後はヘッドコーチとなったシボドーのACとしてシカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、そしてここ2シーズンはニックスでサポートしている。

そのため、ブランソンは22日に公開された人気ポッドキャスト番組『ALL THE SMOKE』へ出演した際、こう語っていた。
「父さんもシカゴでティブス(シボドーの愛称)にコーチングを受けていた。だから僕もシカゴへ行ったんだ。そしたら今度は、父さんがティンバーウルブズでティブスと一緒にコーチをしていた。それもあって、僕は人生の大部分でティブスのことをよく知っているんだ。ここに来てからも、彼は他の選手たちと同じように、僕のことをプッシュしてくれた。別に僕のことを特別扱いするわけじゃない。叱ってくれるんだ」

2018年のドラフト2巡目全体33位指名から這い上がり、オールスターまで上りつめたブランソン。34勝23敗(勝率59.6%)でイースタン・カンファレンス4位にいるニックスがプレーオフを勝ち上がるためには、この男の活躍が不可欠なだけに、恩師シボドーHCとともに両者の関係にも注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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