【MLB】 ベリンジャーが古巣カブスに電撃復帰 3年8000万ドル(約120億)で妥結

写真:ベリンジャー

日本時間25日、全球団のオープン戦がスタートし、開幕が近づく中、FA市場に取り残された大物が動いた。カブスからFAとなっていたコディ・ベリンジャー(一塁手/中堅手)が3年8000万ドル(約120億円)の契約でカブスと再契約に合意したと、『ESPN』のジェフ・パッサン記者が報じた。

ベリンジャーの契約には、1年目・2年目終了後にそれぞれ契約を破棄してFAになれるオプトアウト権が付いている。また、1年目の年俸は3000万ドル、もしオプトアウトしなければ2年目も3000万ドル、3年目は2000万ドルが支払われることとなる。

ベリンジャーはかつてドジャースで新人王とMVPを獲得したこともあるスター選手。しかし、MVPを獲得した2019年以降、キャリアは故障により暗転。2020年から2022年までの3年間、不本意な成績に終わった後、ドジャースをFAで退団した。

昨年は復活を期し、FA市場に出直して大型契約を得るためにカブスと1年契約を結んだ。その狙いはまさに的中し、ベリンジャーは打率.307・26本塁打・OPS.881の大復活を遂げ、再びFA市場に打って出ることとなった。

しかし、ベリンジャーは思ったようなオファーを得られずに、交渉はスプリングトレーニング開始までずれ込んだ。ベリンジャーの代理人を務めるスコット・ボラス氏は、球界で最も敏腕な交渉人として知られ、藤浪晋太郎の代理人も務めている。数々の天文学的契約を実現させてきたボラス氏は、スプリングトレーニング中や時にはシーズン前半戦まで粘ってでもクライアントに大型契約をもたらすのが真骨頂だが、ここでは妥協を強いられた形だ。

ベリンジャーは今シーズンも昨年と同様に好成績を残したら、再び大型契約を目指してオプトアウト権を行使してFAとなることだろう。近年では、同じボラス氏が代理人を務めるカルロス・コレアが、ベリンジャーと同様の顛末をたどっている。コレアは2022年にツインズと毎年オプトアウト権が付いた3年1億530万ドルの契約を結んだ。コレアは狙い通り2022年に好成績を収めると、オプトアウト権を行使。FAとなってツインズから今度は6年2億ドルの好条件を引き出すことに成功した。

昨年カムバック賞に輝くほどの復活を遂げたベリンジャーが、市場から思ったような評価を受けられなかったのはなぜなのか。それはベリンジャーの打球速度などの期待値系の指標が、表面上の成績より劣ることが一因と考えられている。打球速度やバレル率といった指標はもはやスタンダードとなっており、ベリンジャーがいくら好成績を残してもそれらの指標が平均以下ならば、”出来すぎ”と捉える球団が増えているのだろう。

今オフ、大きな投資を控えていたカブスにとっては、割安価格でベリンジャーを呼び戻せたのは大成功と言うほかない。ベリンジャーが埋めていた一塁・中堅は、マイケル・ブッシュ(一塁)やピート・クロウ・アームストロング(中堅)といった未知数の若手に委ねられる予定だった。確固たる実績があり、ポジションに融通の効くベリンジャーの復帰はその意味でも大きいだろう。一塁手としても中堅手としても守備には定評があり、そして持ち前の打力と併せて、新加入の今永昇太や中軸を組む鈴木誠也にも心強い選手が戻ってくる。

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