岡崎紗絵、GP帯ドラマ初ヒロインは「身が引き締まる思い」 デビュー10年目を迎えての展望

2024年の東京を舞台に、恋愛偏差値が低いワケあり男女7人の姿を描いた『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。主演・福士蒼汰と脚本・遊川和彦の初タッグ作ということでも注目を集めている本作で、主人公の久米真和(福士蒼汰)がマッチングアプリで出会ったブックカフェを経営する今村絵里加を演じているのが、本作がGP帯ドラマ初ヒロインとなる岡崎紗絵だ。2014年の女優デビューから10年目を迎えた岡崎に、GP帯ドラマ初ヒロインの心境や今後の展望について話を聞いた。

ーー『アイのない恋人たち』ではヒロイン役を担われていますが、オファーがあったときの心境を教えてください。

岡崎紗絵(以下、岡崎):喜びと驚きと緊張が一気にドーンと押し寄せてきたような感覚でした。その中でも、光栄な気持ちが一番強かったです。

ーー物語は、2024年の東京を舞台にした、恋愛偏差値が低いワケあり男女7人のラブストーリーです。

岡崎:「7人」という人数は、今まであったラブストーリーからしてみるとちょっと新しいのかなと思います。3人で三角関係とかはよくあると思いますが、7人という人数で、しかも全員がちゃんと交わるストーリーになっているので、そこも面白いですよね。登場人物それぞれの考え方が違うので、視聴者の方にも共感していただけるポイントがたくさんあるのではないかなと思います。

ーー岡崎さんが演じている今村絵里加は、結婚への焦りも憧れも抱くことなく、男性経験がないまま生きてきた、ブックカフェを経営する31歳の女性です。

岡崎:絵里加は自分自身でそうなりたくてなったわけではなく、自分の置かれている環境やうまくいかなかった過去があって、結果的にそうなってしまった女性だと思うんですよね。それは恋愛に限らず、人との関わりみたいなことも含めてで……。一つひとつのことを慎重にやるという点は私も同じなのですが、私はどちらかと言うと、人とコミュニケーションを積極的に取っていきたいタイプで、人と話すことも好きなので、絵里加とはちょっとタイプが異なるかもしれません。

ーー岡崎さんの“人とコミュニケーションを積極的に取る性格”というのは昔からそうなんですか?

岡崎:小さい頃、父親の仕事の関係で転勤が多かったんです。出来上がったコミュニテイの中にいきなり入っていくことが多かったので、とにかく自分から話しかけてアクションを起こしたりして、友達を作っていくことを大事にしていました。それが今の自分の人格形成にも大きな影響を及ぼしているのかなと。

ーーじゃあ共演者の方ともすぐに仲良くなれる感じですか?

岡崎:もちろん現場にもよりますし、プライベートでご飯に行くくらいの関係性を築くまではそれなりのハードルがありますが、どの現場でも共演者の方となるべく積極的にお話しすることは意識的にするようにしています。

ーー今回、主演の福士蒼汰さんとは初共演になります。

岡崎:福士さんは、テレビなどで拝見する通りの爽やかさで、とにかく“紳士感”がすごいです。本当にイメージ通りで、第一印象は“物知りなお兄さん”という感じでした(笑)。最近は海外の作品にもご出演されていらっしゃっていて、語学に興味があるそうです。もし違う職に就くなら語学学者になりたいと言っていたのがすごく印象的でした。

ーー岡崎さんにとって、『アイのない恋人たち』はGP帯ドラマ初ヒロインとなるメモリアルな作品でもありますね。

岡崎:2014年からこのお仕事を始めているので、2024年でちょうど10年になるんですよね。そういう意味でも身が引き締まる思いですし、今まで積み重ねてきたことが今回のGP帯ドラマ初ヒロインに繋がったと思うと、感謝の気持ちでいっぱいになりますし、初心に帰って頑張りたいなとすごく思います。

ーーこの10年間のキャリアは、ある程度思い描いていたものでしたか? それとも全く予想外のものでしたか?

岡崎:10年前にこういう景色を見られることは全く想像していませんでした。この10年、いろんなことがありましたが、ここまで連れてきてくださった周りの方々にも感謝したいです。

ーーこれまで数々の作品に出演されていますが、岡崎さんの中で経験として大きかった作品を教えてください。

岡崎:いろいろありますが、一つ挙げるとしたら、映画で初めてヒロインを務めさせていただいた『mellow』(2020年)です。監督の今泉力哉さんとも役作りについて細かく話をさせていただいて、「作品をつくるってこういうことなのか」と深く感じることができた作品でした。それと、テレビドラマ初主演を務めさせていただいた『花嫁未満エスケープ』(2022年/テレビ東京系)も大きかったです。初めて主演という立場で作品に携わらせていただいて、立ってみなきゃわからない景色があるんだなと肌で感じたんですよね。共演者の方々やスタッフさんと同じ方向に向かって走っていく感覚を、主演という立場でより強く感じることができて、自分でも成長できたと実感しました。それ以降の作品では自分の考え方も大きく変わったところがあります。

ーーどういうところが変わったんですか?

岡崎:たとえば、主演の立場である自分にブレるような気持ちが生まれてしまうと、現場にもそれが伝染してしまうんだなということを感じたんですよね。自分のせいで空気が変わってしまうというか。なので、それまでご一緒してきた座長の方へのリスペクトがより強くなりましたし、自分もしっかりと、ブレないように自分の足で立っていかないといけないなと強く感じるようになりました。

ーーキャリア10年目を迎えてまだまだご活躍が続くと思いますが、今後どういう道を歩んでいきたいと考えていますか?

岡崎:もうすぐ30代になりますが、30歳ってひとつの大きな節目となるタイミングだと思っていて。特に女性は、いろいろな選択肢が生まれてきて、選ぶ道によって人生も変わってくると思うんです。いまはまだ具体的にどういう道を歩んでいくかは見えていませんが、素敵な30歳を迎えられるように、20代のうちにいろいろな経験をしておきたいなと思っています。

ーー20代のうちにとにかくいろんな経験を積んでおきたいと。

岡崎:私はどうしても頭で考えてしまうことが多いんですけど、最近は考えずにまず行動してみることもすごく大事だなと思うようになってきたんです。なるべく取捨選択することなく、とにかく走り続ける中で、何かを見つけられたらいいなと。一方で、プライベートの充実も大事だと思っているので、心が健康であること、元気であることは常に意識していたいです。やっぱり心が豊かじゃないと、お仕事もうまくいかないと思うので。

ーープライベートではどのように気分をリフレッシュさせているんですか?

岡崎:友達と会って、近況を話し合ったりすることです。そういうなんでもないような時間が、私にとってはすごく大事なんですよね。あとは時間があるときに海外に行ってみたり、それこそいろいろ新しい経験をして、自分自身をレベルアップさせてます。そういうことがお仕事にもうまく活きるといいなと思っています。

(取材・文=宮川翔)

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