もう限界…”妻を見限った”夫たち #2「あなたのお父さんは…」

愛し合って結婚したはずの配偶者でも、生活を続けるなかで悪い面ばかり前に出るようになると愛情も減っていくもの。

妥協しながら何とかがんばってきたけれど、「もうやっていけない」と心の線が切れる瞬間を避けられないときもあります。

自分の努力にも限界があるのが結婚生活、妻とのつながりに愛着を失った夫たちには何があったのでしょうか。

「元妻と離婚したのは、宗教が理由です。元妻の一家や親族は長い間ある宗教に入信していて、付き合っている頃からそれは知っていたけれど、『無理な入信は勧めないから』と言われて実際に何かを強制されることはなかったのであまり気にしていませんでした。

風向きが変わったのは入籍してから、僕の父親が重い病気を患ったときに『うちの神様にお願いすれば必ず治るから』と義父たちに何度も言われ、さすがに困りましたね。

うちの両親は宗教頼みなど考えていないし、やんわりと断っていたのですが『そんな心根だから悪い病気に取り憑かれるんだ』と義父に言われてから雰囲気が悪くなりました。

ショックだったのは、病身で弱っているうちの父親を見て最初は看病してくれていた元妻が、入信を断ってからは病院に寄りつかなくなったことです。

僕との仲も何となく気まずくなっていき、そのときはまさか離婚するとは思っていなかったのですが、義父とのいさかいを聞いた元妻は『あなたのお父さんはもうダメかもね』とため息をつきながら僕に言いました。

この一言で糸が切れ、『なんてことを言うんだ』と喧嘩になり、実家に逃げ帰った元妻とはその後音信不通、半年後に記入済みの離婚届が届いたので荷物を実家に送り、別れました。

父親は無事に回復して今も元気ですが、元妻とその一族については今も『許せない』と怒りは続いています。

自分たちの信仰に巻き込もうとして断れば生を諦めるとか、とんでもない連中だと俺も思っています。

子どもがいなかったのが幸いで、早めに本性がわかってほっとしていますね」(33歳/教育)

それまでは特に入信は勧めてこなかったのに、悪いことが起こると一気に引き込もうとする人たちは一定数います。

善意や好意からだとしても、入信を決めるのはあくまでその人の自由であり、断るからといって悪しざまに言うことは許されないと感じます。

病気ならなおさら、信じないことで「もうダメかもね」など言われたら、愛情が消えるのは当然です。

個人の尊厳を踏みにじるようなやり方が、本当の信仰といえるのでしょうか。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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