3月は離婚件数最多の月…夫婦の「3月危機」はなぜ起きる?

卒園、卒業シーズンの春。そして、夫婦関係と別れをつげる季節でもあります。3月が離婚件数最多の月になる理由などについて、恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。

3月離婚は社会的なマイナス影響が小さい!?

2024年は閏(うるう)年。4年に1度巡ってくる閏年の2月29日は日本記念日協会が認定した「円満離婚の日」をご存知ですか。

1年で離婚の件数が最も多いとされる3月の前日で、この日を夫婦の絆、結婚・離婚の本質や夫婦関係などをあらためて考える日にしようと、「離婚式」のプランナーである寺井広樹氏が提唱したそうです。

2024年2月27日に行われるイベントでは、「離婚川柳」大賞や「円満離婚オブザイヤー」の発表も行われるとのこと。離婚のポジティブなイメージもずいぶん定着してきたなと思います。

しかしながら、まだまだ離婚にはネガティブなイメージも多く、できるだけ社会的なマイナス影響を受けずに離婚を行いたいというニーズも当然あります。

実は「3月は1年で一番離婚件数が多い」というのも、この「社会的なマイナス影響を最小限にしたい」という工夫の表れでもあります。では、3月に離婚をすることでどんなマイナス影響を減らすことができるのかをご紹介しましょう。

子どもに対するマイナス影響が減少、熟年離婚のきっかけにも

マリナさん(仮名36歳)が3月離婚を選んだのは、一人娘の学校生活を懸念してのことでした。もともと、低学年でイジメにあい学校生活が苦手な娘が、離婚で苗字が変わることでまたイジメにあうのではないかということが、彼女にとって最大の心配ごとだったそうです。

「小学校で娘がイジメにあってもまったく無関心だった夫には、娘も私も愛想が尽きていました。娘とは5年生のときから『中学校は地元でなく、私立の女子校に行こうね』と目標を定め、新しい苗字で娘がスタートを切れるように受験の書類も私の旧姓で作成しました。

受験に合格するまでは塾代などお金がかかるので、その間は離婚を我慢していました。

晴れて志望校に合格したことを受け、そこから諸手続きを開始。3月に離婚が成立し、私と娘は新しい学校に近い場所に引っ越し、身も心もすっきりと4月を迎えました」

両親の離婚が子どもに与える影響はさまざまな面に及びますが、もっとも影響が大きいことの一つが「苗字」。「来週から、山田君は高橋君になります」のようなアナウンスが周囲にされることは、学校で集団生活を送る子どもたちにとっては、それだけで「学校に行きたくなくなる」ショッキングなできごとでしょう。それを避けるための一つが「進学によって環境を変えるための3月離婚」というわけです。

もちろん、子どもの学校が地元でなくなることで、今までのママ友関係も同時に清算。地元のママ友たちと離れ、新しい学校でのママ友関係に切り替えることができます。

サナエさん(仮名56歳)が3月離婚を選んだのは「仮面夫婦でいる必要性がなくなるタイミングだったから」だと言います。

「昨年春に息子が就職。娘も地方の国立大に進学が決まり、どちらも家を出ることになりました。夫とはすっかり冷え切っていましたが、少なくとも子どもたちが家にいる間は夫婦の形をくずさないでいようという合意がありました。

長男の就職が一昨年7月に決まり、長女の進学が昨年2月で決まった時点で、仮面夫婦でいる必要がなくなったため、3月に離婚しました。」

「熟年離婚」の場合も、子どもが家を出るタイミングが3月離婚の後押しをすることがあります。夫婦2人きりになった以上、もはや仮面夫婦を続ける必要がないですからね。

仕事の節目で、働く女性としてのマイナス影響も少なくなる

夫婦共働きのミナミさん(仮名33歳)が3月離婚を選んだのは「仕事上の節目が4月だから」という理由。

「うちの会社で一番大きな人事異動は4月です。夫の浮気がわかった後、どのタイミングで離婚するかを探っていたんです。うちの会社には結構古い体質が残っています。『バツイチ=女性として欠陥あり』みたいに見下してくるおじさん上司や、噂好きなお局さんたちもウザくて、今の部署のままで離婚したら、居心地悪くなりそうだというのが気になっていました。

去年は私にとって入社10年目で、海外支店への異動希望や人材交流で官庁へ出向など、いろいろな社内制度が利用できる節目でした。そこで海外支店への異動希望を出し、一昨年の12月の社内選考にとおった時点から、正式に離婚準備をはじめました。慰謝料の交渉などいろいろあって、手続きがすべて終わったのが3か月後で、3月になっていました。

4月からは海外支店で心機一転!現地で素敵な出会いがあって、そのままあちらに移住しちゃってもいいかな、なんてワクワクしています」

離婚をしても、仕事上では夫の姓をそのまま名乗り続けたり、あるいは結婚しても旧姓を使い続けたりしているかたもいますが、離婚で苗字が変わることのデメリットは働く女性にとってもよくあること。4月の年度替わりのタイミングが「心機一転」にふさわしいのは、子どもたちと同じようです。

離婚に際して生じるデメリットは男女ともにありますが、苗字に関してはやはり女性が「不利」であるシーンが多いでしょう。3月離婚はそれを少しでも軽減する賢い方法なのかもしれません。

3月に夫婦関係を心機一転させるのもアリ!?

3月は“卒業”、”別れ”、“年度末”、“引っ越し”、“決算”あど、区切りの言葉が似合います。寒い冬が立ち去り、ポカポカ陽気の春が目の前。前を向きたい気持ちになるという季節的な意味も強いと思います。まさに心機一転月。

「愛してもいないパートナーと、あと何回春が来るのを待つんだろう。そんな春は虚しいだけ」

人生100年と言いますが、気分を落とすパートナーと残り50年、60年をすごすと考えるとかなり長い。夫婦仲改善するか、3月に卒業するかを早めに決意するのが幸せな老後を送る秘訣です。

◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

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出典:Amazon

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