昨年の運用収益は過去最高!年金を運用しているGPIFの運用方法とは?

2024年2月22日「ニャンニャンニャン」(猫の日)に、これまでの日経平均株価最高値3万8915円を上回る史上最高値の3万9098円で取引を終了しました。私が証券会社に入社したのが1988年で翌年の大納会(1989年12月29日)でつけた最高値を2024年2月の段階で更新するとは想像もしていませんでした。今年中に更新するとは思っていましたが時期的にはもう少し先のイメージでした。

そこで、ふと脳裏に浮かぶのが日銀のETFやGPIFの収支です。今回はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)についてお伝えしたいと思います。


2023年の収益は過去最高に

先日、私がXにポストした記事に「いいね」が88万つきました。内容は【何故か?報じられないGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用状況】です。同機関は、厚生労働省所管の独立行政法人であり、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。

市場運用は2001年に開始されました。開始された理由は少子高齢化が進み、現役世代の保険料が先細りになってしまう懸念からでした。既に世代間で支え合う仕組みが決定されていて、この先も公的年金制度が続けられるように、積立金の不足を補うためです。現在の運用状況を確認しましょう。

GPIFは、四半期(3カ月)ごとに運用結果を公表しています。2024年2月2日に2023年度第3四半期の運用状況(速報)が公表されました。今四半期の収益額はプラス5兆7287億円となっています。市場運用開始以降(2001年度から2023年度第3四半期)の収益額はプラス132兆4113億円です。

運用資産額は224兆円7025億円となり、2022年末の189兆円から1年間で2割増加しました。四半期ごとの損益を合計した2023年全体では34兆3077億円のプラスと最高記録も更新しています。これだけ多くの収益をもたらしながら、成績がマイナスの時はニュースなどで大きく取り上げて報じられ、プラスの時はあまり大きく報道しない傾向があるように感じています。個人的にはどちらの時も報道量は同じように扱った方が良いと思います。投資にはマイナスは「つきもの」ですし、今年から新NISAが開始され投資を始めた方々にも参考になると思うからです。

GPIFの基本ポートフォリオ

GPIFは、世界最大の機関投資家と呼ばれています。マーケット内の大きな資金運用を行っている機関投資家を“クジラ”と呼びますが、正にそのクジラに匹敵する機関といえるでしょう。国内株式での運用資産は約55.8兆円で東証プライム市場の株式時価総額の約6.2%を占めていて(2月22日時点)、国内では最大級の株主となっています。しかし、ファンドを通して間接的に株式を保有しているのでGPIFの名前は株主名簿に掲載されません。たとえ大株主になった場合でも運用委託先の名義の有価証券報告書が公表される仕組みです。株主名簿を調べて同じ銘柄を購入しようとしても、それは不可能です。

基本ポートフォリオは、国内と外国の債券及び株式の4資産に25%ずつ投資する形態ですが、資産ごとに±6〜8%の乖離許容幅が認められています。ただし、近年は25%で運用されているように思います。直近の運用資産割合は国内債券58.3兆円(25.77%)外国債券55.3兆円(24.44%)、国内株式55.8兆円(24.66%)、外国株式56.9兆円(25.14%)となっています。

コロナショックでもインカムゲインは増加

前途に示した通り期間中の収益額はプラス132兆4113億円です。しかし、そのうち利子・配当で50兆5529億の収益があります。約37%がインカムゲインです。株式市場にはキャピタルゲインとインカムゲインがあります。キャピタルゲインは債券や株式、不動産など資産価値の上昇による利益です。対してインカムゲインは株式投資では配当、不動産投資では家賃収入などです。キャピタル部分はマイナスになる年もあります。ただ、インカムゲインは右肩上がりで下がる事はありません。直近で株価が大幅下落したコロナショックの際もインカムゲインは増加しています。

同機関の日本企業の保有銘柄数は2300社を超えています。保有時価総額ベースではトップがトヨタ自動車 、2位がソニーG、3位はキーエンスと続きます。米国株では、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット保有比率が高いです。

日経平均株価は史上最高値を更新しました。米国市場のS&P500指数も今年に入り過去最高値を更新する場面もあります。GPIFの運用状況もかなり良好な状況が期待できます。今四半期も過去最高の収益額が見込まれそうです。しかしコロナショック後の急速な収益拡大をみると、新年度(4月)以降も一本調子で株価上昇となるのか?不安な部分もあります。しかし、同機関などの運用実績などを見ると長期目線での投資が有効のように感じます。

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