障害ある人がモデルのファッションショー 北海道・函館、主催者が込めた思いとは

「函館コレクション」に出演、ランウエーを進むモデル=2023年12月、北海道函館市(克さん撮影)

 北海道函館市で、障害のある人たちがモデルを務めるファッションショーに取り組む女性がいる。函館市女性会議の会長佐々木香さん(61)は防災に取り組む中で、困難を抱える人と日ごろからつながる大切さを知った。「身近にいることを知ってもらい、誰ひとり取り残されないまちの実現につなげたい」と意義を語る。(共同通信=瀬尾遊)

 佐々木さんは会長となった2012年、東日本大震災についての講演会へ足を運んだのをきっかけに、自らも講演会や防災イベントを企画するようになった。会員には「女性会議がなぜ防災か」と言われたが、「住みやすい地域づくりが会長になった使命」と信じて取り組みを続けると、次第に賛同の声が増えた。

 活動を通じ、1人暮らしの障害者が避難できなかったケースを知った。「障害のある人を可視化し、困難に感じていることがないかを普段から市民に想像してもらう必要がある」と考え、2022年にモデルを健常者以外に限定したファッションショー「HAKODATE COLLECTION(函館コレクション)」を初めて開催した。

 昨年12月の第2回では、点字がモチーフのスーツや、着脱しやすく作られたドレスなど障害のある人ならではの衣服が登場。モデルがランウエーを進む際には障害や困難な経験についてのアナウンスもあり、「外見では気付かないだけで、隣にも障害のある人はいる」というメッセージを込めたという。

 プロデューサーを務めたデザイン事務所「tenbo(テンボ)」(千葉県)の鶴田能史さん(42)は「服を魅力的に見せるためにモデルを選び、無表情で歩かせる一般のファッションショーとは逆で、モデルを見せるために服とヘアメークを添えた」と特色を説明した。

 今年も12月にショーを開催する方針。佐々木さんは「災害時を含め、全ての人が生きやすいまちにするために続けたい」と意気込んだ。

「函館コレクション」でランウエーを進むモデル=2023年12月、北海道函館市(克さん撮影)
「函館コレクション」を開催した佐々木香さん=北海道函館市
笑顔で「函館コレクション」のランウエーを進むモデル=2023年12月、北海道函館市(克さん撮影)
「函館コレクション」に出演したモデル=2023年12月、北海道函館市(克さん撮影)

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