春日局は「優れた政治の観察眼あった」 京都橘大学の名誉教授が生涯を解説 京都・亀岡市

「春日局の一生とその役割」と題して講演する田端名誉教授(亀岡市余部町・ガレリアかめおか)

 2023年度の京都府亀岡市生涯学習ゆう・あい賞「千登三子賞」を受けた田端泰子・京都橘大名誉教授(日本女性史)の記念講演会が23日、同市余部町のガレリアかめおかであった。「春日局の一生とその役割」と題し、苦難を経て徳川家光の乳母となった経過をたどり、「女性でありながら家柄にとらわれず、公私で徳川将軍家を支えた」と評した。

 春日局(本名・福)は1579年、明智光秀の重臣・斎藤利三の娘として誕生。しかし82年の本能寺の変の余波で、厳しい境遇に置かれた。その後離婚も経験し、田端名誉教授は「母と京で暮らしていたが、苦難が増大した」と指摘。それでも子が4人いて母乳が豊富に出たことから、1604年に家光(幼名・竹千代)の乳母の職を得ることができたとした。

 15年に駿府城に赴き、秀忠に正嫡を決めさせるよう家康に直訴した出来事にも言及。当時は徳川氏が全国政権の基礎を固める最中で、翌年には家康が亡くなったことから、田端名誉教授は「福には幕府の方針をよく見極める、優れた政治の観察眼があった」と解説した。約200人が、興味深げに耳を傾けた。

 生涯学習賞ではほかに、共生賞「上田正昭賞」に木城えほんの郷(宮崎県木城町)、奨励賞にNPO法人中川小十郎顕彰会(亀岡市)が選ばれ、同日表彰式が行われた。

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