舞華が長身181㎝のHANAKOにかける期待と不安「化けると思っている」引退した盟友の思いも背負う【スターダム】

スターダムの新人選手が今年に入り、続々とユニット所属への動きを見せている。昨年末に団体の至宝、ワールド王座を戴冠した舞華は、今年1・20高田馬場大会で白川未奈と新ユニット「E neXus V(イーネクサスヴィー=EXV)」を立ち上げた。その場でHANAKOに水を向ける形で、ユニット入りを導いた。

団体の至宝王者として、新たなユニットを立ち上げた舞華。「そもそも私はHANAKOのデビュー戦の相手。それだけでも気にするし、ひめかも気にかけていて、JPコースターという技も受け継がせている」と、思い入れを口にした。

身長181センチの逸材であるHANAKOとは昨年3・25横浜武道館大会で、盟友だったひめかと組み、デビュー戦(HANAKOの相棒はレディ・C)の相手を務めた。ひめかがHANAKOを下すと、自身の得意技JPコースター(アルゼンチン式背骨折りからの開脚式フェイスバスター)の継承を提案し、翌月に引退。JPコースターを受け継いだHANAKOを、舞華が気にかけるのは納得できることだった。

舞華は「ひめかも(172センチと)身長が高かったこともあって、私たちはデビュー前から気にかけていた。練習も見ていたし、性格も知っている。メンタルが弱いなとは思っていたが、リングに上がったら大丈夫と思っていて、プロレスラーとしての素質もありました。だからこそ、ひめかはJPコースターを譲ったんでしょう」と振り返った。

ところが、HANAKOは今年1・3横浜武道館大会で、昨年11月デビューの弓月に追い越される形で新人王のタイトルを奪われた。過剰なまでに嘆き悲しみ、落ち込み続けるHANAKOの姿に舞華は「気持ちは分かるけど、そこからはい上がるのがプロレスラー。悔しくても頑張る姿で、勇気を与えるのが役割のはずなのに」と憤りを感じた。

昨年夏の5★STAR GP決勝で鈴季すずに敗れ、バックステージで号泣しながら謝罪した舞華の姿と少し重なるような気もしたが「まだ早いよ。出鼻をくじかれただけなのに」とピシャリ。SNSなどでも落ち込む様子を隠さないHANAKOに「いつまで引きずっているんだ。これはカツを入れてやらないと」と、業を煮やし、今回の行動に至った。

新加入後のHANAKOは関西弁を解禁するようになり、リング内外で感情を隠さなくなった。「SNSでも発信できるけれど、一番大事なのはお客さんの反応を見て、自分の声で伝えること。リングで叫んだら発散できていたようなので、HANAKOにはこの形がいいのかな」と状況を語った。「このユニットは世界を目指しているので、やらなきゃいけないことは山ほどある。今のところはHANAKOなりに付いてきているのかな」と、一定の及第点を与えた。

そんなHANAKOに舞華は現在、減量指令を課している。「体が大きくなりすぎている。一度絞って、筋肉と体力をつけさせたい。肉体改造ですね。あの子は自信が足りていないから、何キロ絞ったとか、形に見える成果を出して自信を付けさせたい。ただし、メンタルをこじらせないように、時には甘い物を食べてもいい機会をつくって、逃げ道は用意しています」。厳しさの中にも配慮を忘れてはいない。

エグゼクティブプロデューサーを務めたロッシー小川氏の契約解除によって団体は揺れているが、それでもリングの戦いは物語を紡ぎ続けている。

舞華は「あれだけ恵まれた体はない。それだけでも才能。HANAKOは化けると思うし、そうなってほしい」と期待をかけた。「これはHANAKOだけでなく、スターダムの若手全員にも言えますが、ちょっとメンタルが弱い。もっと泥くささというか、泥水をすする覚悟が必要。練習生からデビューするために努力するのは当たり前だけど、デビューできたらポンポンと(立場が)上がっていく甘いリングではない」と己を磨き続ける必要性を語った。EXVのリーダーとしてだけでなく、団体の至宝ベルトを巻く王者の立場が言わせたのだろう。スターダムの若手全体に奮起を求めた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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